雑談は、教養の偏差値が同レベルでないと楽しめない
例えば、営業の仕事をしているセールスパーソンの中には、顧客との商談の時にいつも入り方が悪い人がいる。
本来は会話に「良い・悪い」は無いのだけれど、結果的に空気が微妙になって、そのまま何も決まらないまま「じゃあ、検討しておきますね」と打ち切られてしまう商談に遭遇したことがある人も多いだろう。
話し始めに雑談をすることを「アイスブレイク」というのは、文字通り「アイス(=場の凍った空気)を、ブレイク(=壊す)」という意味だが、アイスブレイクとしての話が上手いか下手かというのは、テクニックの問題以上に「雑談力」にあると僕は思う。
例えば、雑談力が低い人は、たまたま1回の商談で上手くいったと思っても、次の商談からは再び微妙な空気が流れてしまう。
特に相手が経営者や決済者など、役職が上の方であればあるほど、セールスパーソンに求められるのは雑談力である。
経営者は忙しい、だからすぐさま本質的な会話に入るのだ、というのも正解だと思う。
だけれど、相手は人間なのだから、本業の話はもちろんのこと、それ以外の周辺の話で、目の前にいるセールスパーソンの人間力を測っている。
経営者というのは、無意識的にもそういう能力が長けてくるので、経営者など社会的に立場のある人を相手にする仕事をしている方であれば、是非「雑談力」を身につけてみると良いと思う。
これは僕自身の仕事の経験の中で、経営者の方々とのお喋りを通して教えてもらったことを書いた内容だけれど、経営者の方に対して「今日の天気は」という話をしてもしょうがないし、今の時代に「コロナで大変ですね」ということを言っても「そりゃあ、そうだ」と言われて終わりである。
なぜ、天気の話がご時世の話は素通りで終わってしまうのか。
それは、雑談を通して見られているのはその人の教養であり、人間力であるからだ。天気の話に、教養は必要ない。
教養の引き出しを積み上げていくことこそ、雑談力を磨くということなのだ。
オンラインの時代だからこその雑談力
世の中が在宅ワークに移行しつつあるこのご時世、オンラインを通した商談や打ち合わせをする人たちも多いと思う。
オンラインを通した仕事のコミュニケーションは、いつも以上に「明瞭に伝える」ことを意識することがポイントというのはご存知の通り。
ただ、僕自身が日々多くのオンラインツールを用いた仕事をする中で思うのは、コミュニケーションツールに左右されず、雑談力がある人はあるし、無い人は無い。
そして、オンラインツールを用いるからこそ、余計にその人の持つ知性だとか、教養が浮き彫りにされるという、人によってはちょっと酷な事実が明確になったと思う。
やはり人は目の前の人と直接話す温度感を感じられないと、どうしてもコミュニケーションがドライになってしまいがちである。特に仕事関係だとそう。メールも電話も、冷たい印象を与えてしまう人も多いと思う。
けれど、そこに1滴の知性を織り交ぜることで「おっ」と相手に思ってもらえるし、やっぱりそこから話は膨らむ。
オンラインであろうがなかろうが、雑談というのは仕事においても、あるいは日常の交友関係においても重要な潤滑油であり、雑談を楽しめるもの同士というのは総じて教養の偏差値レベルが近いのである。
逆にそうで無いと、「普通の会話」が成立し辛くなってしまい、お互いに気まずくなってしまう。皆さんも、経験があるだろう。
続きはまた。