阿部真央「嘘つき」
貴方が植え付けた匂い 今も私を呼び止める
貴方が植え付けた癖 今は私を彩っている
また夏にやってくると あやすようにそっと抱き寄せて
貴方が置いてった言葉 今も私は捨てられずに
ここでずっと待ってるよ こうして
ここてひとり問うてるよ 「どうして?」
愛していると泣いたくせに あの日の貴方は今どこに
そういえば抱きしめるのは私ばかりだったね
嘘つき 嘘つき
阿部真央が歌う「嘘つき」という歌があります。
僕がこの歌に出会ったのは確か、大学の1年か2年の時でしたが、未だに僕はこの歌を聞くと、なぜかすごく心が痛い。
理由はわからないのだけれども、すごく、すごく痛いんです。
なんでこんなに反応しているのか自分でもわからなくなるけれど、反応をしているということは、僕の中にこの歌が響く”何か”があるのかなと。
それこそ、もう2年とか、そのくらいその理由を考えていて、それでいてこの曲を聴くたびにすごく心が痛くて、時には泣いて。
なんだろうなと、ずっとその想いを抱えていました。
こんな詩を書くことができる阿部真央というアーティストは、どんな人なんだろう。
これほどまでに激しい何かが言葉になって出てくるほど、誰かを愛することができるのだろうかと。
僕は思うわけです。
サビの部分は
愛していると泣いたくせに あの日の貴方は今どこに
そういえば抱きしめるのは私ばかりだったね
嘘つき 嘘つき
というところですが、それこそ彼女の心の奥底の叫びが聞こえるようで、すごく心に刺さる。
響くというよりも、刺さるんです、僕の心には。
ずっと僕はその何かを探していて、最近ふっと気づいたことは、僕の母親という存在に、何か関係があるのかもしれないな、ということ。
答えはわからないけれど。自分の両親、ですね。
僕がいつしか人を信じることをしなくなったのは、その根っこには親という存在があるからで、だからこそ僕はドライでもあるし、傷ついた過去と、それ以上に誰かを傷つけた過去があって、そういったいろいろなものが混ざりに混ざって、今の僕の中に存在しているのかもしれないなと。
この曲を聴くたびに、見たことがある景色、そして出会ったことのない、いろいろな情景が僕の中を駆け巡ります。
本気で人を好きになるというのは、すごく切なくて、そしてすごく綺麗なこと。なのかもしれません。
ありがとう。