【映画】蝶の眠り(中山美穂主演)
中山美穂さんが演じる映画って、なんでこうも世界観が素敵なものが多いのだろう。笑
最近だと、
はよかったなあ。
売れっ子の女性小説家・涼子(中山美穂)は、自分が母と同じ遺伝性アルツハイマーに侵されていることを知る。死を迎える前に、何かをやり遂げようと考えた涼子は、大学で文学の講師を務めることを決める。講義の初日、学生と訪れた居酒屋でアルバイトをする韓国人の留学生チャネ(キム・ジェウク)と出会い、涼子は最後となるかもしれない小説の執筆を手伝わせることに。愛犬の死により正気を失う涼子、そこへ駆けつけたチャネといつしか二人は年齢の差を超えて恋人のように惹かれ合っていく。病が進行するにつれ、涼子は愛と不安に苛立ちの中、チャネとの関係を清算しようと決意するのだが、その思いは到底チャネには受け入れがたいものであった。
小説家が出てくる物語って、妙に惹かれるよね。
「作家」という生き様が世界観として描かれている映画を見ると興奮するし、僕もこういう人生を歩みたいなあと思う・・
映画としてこうして「物語」を観ている自分と、その物語の中でさらに「小説家」「物語」が登場していて、その対比を俯瞰して見ているという構造がまた興味深い。(分かる人、いる?)
言葉や物語にこだわる人って、素敵な人が多いよね。
生活とか、この映画に「素敵な書斎だと素敵な小説が書ける」という表現が出てくるのだけれど、自分の周りの環境だとか、「この万年筆じゃないとかけない」とか。
そういう一つ一つのこだわりと大事に生きている人って、いいなあと思う。
予定調和が嫌い、偶然の出会い
物語の最後に「偶然の図書館」というものが出てくるのだけれど(途中のやりとりが伏線になっている)、主人公の涼子(中山美穂)が自宅にある大量の本が入れられた本棚をチャネに並べ直してもらうというところが好き。
「どこになんの本があるかわかってしまうのがいや」「私にとってこれから本は観賞用」というのだから、たくさんの本たちを色とりどりに並べ替えてしまう。
その「偶然性」を楽しめるあたりがまた粋だなと思うのだけど、人生はやっぱり偶然の出会いがなくっちゃ面白くない。
科学にも「セレンディピティ」といって「偶然の幸運」という考え方がある。
予定されていろんなことが計画通りであるよりも、何が起こるかわからない、偶然の出会いがあるからこそ人生は面白いし、少し前に僕がブログで「未来は見える」と書いていながら「偶然性っていいよね」と書くのもどうかと思うのだけれど。笑
でも、その矛盾が楽しいんだよね。人生って。
日本文学に憧れて日本へ来た韓国からの留学生チャネが、スケジュールを放棄して過ごしていた時に、涼子さんと出会うという偶然。
そしてそれがトリガーになって、小説家としての夢に再び火がつき、結局はその夢に繋がるように生きていくというある意味の「必然性」がまたキュンとする。
僕自身はこの映画を見ていてチャネにどこか僕自身の人生を重ねていたりした。
偶然の中で出会ったある人との出会いで、一気に人生の景色が変わる。
恋をして、人を好きになり、いろんな感情を味わって、言葉を覚え、見える景色が変わり、夢につながっていく。
そんな人生こそ、1つの物語のようなんですね。
<追伸>
タイトルの「蝶の眠り」というのは、韓国語で、まるで赤ちゃんのように両手を挙げて可愛く眠る姿を比喩した言葉のこと。
蝶のように眠る涼子の眠る姿を見て、チャネが放つ愛情を込めたひと言なんだけれど、文学的で美しい愛の表現も素敵ですね。
<追伸の追伸>
これから「蝶の眠り」という言葉を使おう・・きゅん。