IPPONグランプリに学ぶ。芸人の頭の良さと優秀なビジネスマンとの共通点
フジテレビ主催で、チェアマンの松本人志さんを中心に今を時めくお笑い芸人さんたちが出演している「IPPON GRAND PRIX」(イッポン・グランプリ)というものがある。
(というか、僕のブログを読んでくださっている年齢層の人たちは知っているか。笑)
YouTubeを見ていた時にたまたまこの動画を見つけて、ハマりにハマってかなりの数を見てしまったんだけれど、普段、お笑いやバラエティ番組をほとんど見ない僕にとってはすごく興味深くて、その感想を書いてみる。
お笑いやTV番組をほとんど見ない僕でも知っているような方々が出演しているのだから、本当に有名な人たちばかりを中心に出演しているんだと思うけれど、納得の面白さでした。笑
視聴率は安定的に10%を超えているらしい。すごいですね。
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何が面白いって、出されたお題に対して単に面白くてひねった回答をすればいいのではなく、
会場と視聴者の皆さんに「あぁ〜わかる(共感)」と思わせる要素も織り交ぜなければならなくて、しかもそれを数秒の間にひねり出す必要があるという印象。
それって、ものすごく難しくない!?
と思ったわけです。お笑いの方々って、本当に頭がいいんですね。
例えば、次のような質問が出てくるわけです。
というフリップをぱっと見た時に、数秒でみんなを「その回答はなかった!」と思わせ、「なるほど!」と共感させて、なおかつ「面白い!笑」となるような回答をしなければならない。
こういうのって、知らなくないですか!?笑
でも、「知らない」じゃなくて「なるほど〜」と思わせるものを重ねていく。
会場の信頼値がIPPONを決める
もう1つ、見ていてとても興味深いなあと思ったのが、例えば古株の人たち(ずっと出演をしている芸人さん)の回答は、ボタンを押して回答をするという瞬間(まだ、回答していない時)から、もうすでに会場はワクワクの雰囲気なんですね。
それは周りの出演者もそうですし、そして何よりもTVを見ている人たちもそうなんだと思う。
それがその人の信頼値であって、一つ一つ積み重ねてきて、「この人のいうことなら、間違いないだろう」と無意識的に思わせる何かがあるんだと思うんです。
一方で、今回が初出場です!という方々もやっぱりいて、最初の数回の回答を外すと、それ以降にどれほど面白い回答をしても、会場が離れていってしまっている。
会場の信頼値みたいなものが実は、この番組のIPPONを決めるんだなあと感じて、非常に学ばされました。
人間ですもの。すごい芸人さんというのは、肌感覚かもしれないですが、暗黙知さえもコントロールするんですね。
(実際に、松本人志さんが「まずは会場の人たちですねぇ」とボソッと言ったのが本当にすごいと思いました)
よく耳にする「地頭」(じあたま)とは?
話は変わりますが、例えばいま、就活生や就活事業を行なっている人たち(要は人材畑にいる人たち)とやり取りをする中で、
地頭の良さって、何?
という議論をしています。
例えば、よくいうじゃないですか。「彼は地頭がいいから」とか「コミュニケーション能力が高いから」とか、そういう言葉は社会ではよく耳にするんだと思うわけです。
僕の本音を言うと、地頭というのは学力そのものです。
数年前に世の中で「地頭」という言葉が流行り、書店でもたくさんの本を目にしました。
それは、学力(ないし学歴)を手にできなかった世の中の97%の人たちのコンプレックスを利用してお金儲けをしようという潮流です。
だって、「あなたは学歴はないかもしれないけれど、地頭がいいからね」と言われているようで、気持ちいいでしょ?
ごめんね。
そういえば僕が大学時代に出会った、超大手企業の管理職まで行った人が、「お前は地頭が悪いから」という言葉をいろんな人に使っていた。多分、地頭の基準はなかったんだと思う。
今となっては、自己紹介か?とも思うけれど、まあそれも愛嬌でしょう。
人は自分の一番のコンプレックスを相手に話したがる生き物なのです。
頭がいいとは抽象的思考力のことである
さて、冗談はさておき、本題。
じゃあ、本質的に「頭がいい」とか「地頭が良い」というものを、要素分解するとどうなるか。
(余談ですが、最近よく知り合いから「ゆってぃさんて、要素分解好きですよね」と言われる・・職業病か。)
頭の良さの定義は、4つの要素に分かれて、
1抽象的思考力
2論理的思考力
3具体的思考力
4結合的思考力
の4つです。順を追って説明します。
1抽象的思考力
ある事象を見た時に、俯瞰的かつ構造的にその事象を考えることができる力だと、僕は思っています。
例えば、先のIPPONグランプリのお題で「ちょっとだけ不安にさせてください」というお題をぱっと見た時に、
「ちょっとだけ不安な状態って、どういう状態?」
と、全体から考えることができる力です。
世の中一般的には「抽象的に話すのはNG」と言うようなことも言われますが、半分正しくて、半分は間違いです。
具体的に話すことができ、かつ、抽象言語で会話が成り立つと言うことは、すなわちとても賢いと言うことです。
抽象思考→具体的に考えることはある程度トレーニングでできますが、逆はかなり難しいのです。
2論理的思考力
言わずもがな、これはもう20歳を超えればほとんど能力は変わりません。
生まれ持った頭の良さと環境要因で決まるのですが、これこそが学力です。
例えば、論理的思考力といえば数学と思う人も多いはず。
ですが、全ての学問は論理によって構成されていて、小学生で習う国語も極めて論理的です。
論理的思考力とはつまり、三段論法のことです。
三段論法とは、「A=B、B=C、よってA=C」という考え方のこと。
あとはこれの組み合わせと応用です。
数学はもちろん、数式を「=(イコール)」で結びつけていく学問です。
じゃあ、国語は?
国語は、「筆者の主張」と「例え話」を「=(イコール)」で結びつけていく学問です。
筆者が「私はこう思う」と書き、「何故ならば」と答え、「例えば、こうだから」と書いていく。これが国語という学問なのです。
3具体的思考力
1の「抽象的思考力」とは逆の考え方です。世の中一般的にはこちらの方が多く言われるように見えますが、上にも書いたように難しいのは抽象化の方です。
具体的思考力とはその名の通り、「それって要するに、こういうこと」と具体的に考える力のことです。
IPPONグランプリの例ばかりで恐縮ですが、全体から「ちょっとだけ不安な状態」を考えたあと、超各論に落とすことができる力のことです。
「ちょっとだけ不安な状態って、◯◯だよね」というやつ。
僕的には有吉さんの回答がツボで、
本当にしっかりよく焼けば大丈夫
というもの。笑
こういうことだと思うんですよねぇ。(しみじみ)
4結合的思考力
その名の通りなのですが、ある事象と別の事象を有機的に考える力のことです。
いきます。
お題:ちょっとだけ、不安にさせてください。
有吉さんの回答:テレンス・リーからの小包 (IPPON)
みたいな。あるいは、
有吉さんの回答2:みのさんとタモさんの密談
みたいな。笑
確かにちょっとだけ不安になる。そういうことだと思うのですが、いかがでしょうか。
全く別に見える事象を持ってきて、結びつけて一言で言い切る。
要は、本質的に頭がいい人とは、ある事象を目にしたときに、
「抽象化で俯瞰的に考え」→「論理的にシフトし」→「具体的に落とし」→「有機的に結びつける」
という回転をぐるっと(しかも一瞬で)できるわけです。これが頭の良さだと思っています。
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さて、長くなってしまいましたが、読んでくださってありがとう。
僕は今この仕事をしていて思うのですが、やっぱり優秀なビジネスパーソンというのは上で書いた4つの要素を兼ね備えています。
4つが飛び抜けて高い人も稀にいますが、それは稀です。
ですが、往往にして何かしらの要素に長けている人たちというのは多いです。
このブログを読んでくれる学生の人たちへ。
勉強は力なり。