東京に来て1年が経ちました
「東京に引っ越しました!」という記事を書いてちょうど1年が経ちます。
2020年の9月末に、僕は3年半住んだ初めての一人暮らしの街大阪を出て、東京へ完全に引っ越してきました。
あれから1年。今や完全に都内の生活に慣れ、人混みもビル街もなんとも思わなくなり、むしろ文化的で、一歩外を歩けば刺激的な広告と夜の明かりが灯り、30分圏内でどんな人にでも会いに行くことができる圧倒的な便利さに完全に魅了されています。
僕は地方オブ地方の出身ですが、中学生に上がる頃から猛烈に都会に憧れていた。東京に憧れていたのです。
今やそんな憧れの街で、あの日イメージしていたものに近い生活を送ることができている。そんな原点をこうして時々思い返すと、なんとも言えないたまらない気持ちになるのです。
僕は中学時代から、大学は東京に行くものだと思っていました。
東京大学に行くシミュレーションを経て、受験勉強は東大入試からの逆算で、大学に入ったら巡る街や本屋・喫茶店もイメージしていた。
そのイメージの原点にあるのは、本や映画な訳ですが、例えば僕が好きな村上春樹さんは早稲田卒です。
早稲田在学中にジャズバーをはじめ、20代はジャズバーの経営をしながら好きな音楽に囲まれつつ働き、ふとした瞬間に物書きをするようになる。そんなストーリーがあまりにもカッコ良すぎた。
齋藤孝先生も、僕が多大なる影響を受けた作家中谷彰宏さんも、みんな東京の大学で、燻る何かを燃やし続けた学生生活、そして20代を過ごしていて、10代の頃の僕にはその生き様がすごくカッコよかった。
そういう学者気質なところへの憧れもありつつ、一方で都会のビジネスパーソンに憧れていたりもするという、なんとも相容れないちょっと変わったイメージ像が僕の中にはずっと残っていました。
まあ、ようはミーハーなんでしょうね。笑
そしてきっといつかは、それらをハイブリッドした生き方を辿るものだという想いが、地方で育つ10代の僕のエネルギーであり、結果的に東京の大学ではなく地元の野暮ったい国立大学の理系に進学をした僕の活動のガソリンでもありました。
僕の人生の転機は間違いなく、故郷を手放したことです。
諦められぬと諦める夢があるか
ブルーハーツの歌詞の中にあるワンフレーズです。
僕にとっては、小さいことかもしれませんが、「東京」という響きに包含されている色々な憧れの要素が、やっぱり何よりも大事だった。
諦めきれぬと諦めて、そのステージを目指して、中学時代から考えると15年。
抱えきれないほどの渇望を抱えて、東京へ居を移し、新たな環境と出会う人たち、新たな取り組みの仕事、そして自分自身で会社を作り挑戦をしはじめたこの1年。
1年間の中に詰まった変化としては、僕の人生で最も濃い1年だったように思います。
誰しも10代の頃は、好きなことや夢をもっていたのかもしれない。
でも、同時に大人に差し掛かるにつれて、こんな自分でやっていけるのか、やっぱり無理かもしれないという葛藤に苛まれるわけで。
特に10代後半から20代前半にかけて、初めて広い世界を知って、上には上が、外には外が、世間の広さ社会の荒波を実感して、まあいっか。と一度思うとそこからは坂から転げ落ちるように自分に対する自信がなくなっていく。
あの頃想い描いた”何か”があったことすら忘れてしまって、なんとなく就職をし、なんとなく飲みに行き、それなりにデートをして楽してくて、親に言われたから結婚し、気づけば30歳で家庭を作り、それなりに楽しく幸せだけれど、必死に働いていたらあっという間に60歳。
子どもが巣立つ頃にようやく、あれ?自分自身がやりたいことってなんだっけ?と思い立って、40年ぶりにあの頃の夢を思い出すのです。
ルーカス・グラハム の「7 years」という素敵な歌があります。
人生で大切なことを教えてくれる歌で、僕は大好きです。聴くたびに感動する。ぜひYouTubeで聴いてみてほしい。
7歳だった僕が母親から教わった大切なことを胸に、年齢を重ねていくストーリー。
60歳になった時に、当時の父親を思い出すという後半はたまらない。
その中でも僕は、「もうすぐ30歳、世に名前が出る」というところに鳥肌が立つのです。ああ、世に名前が出ていくことを感動できる感性を持っている人は、こんなふうに世界を見ているのだなあと。
あなたの大切なものはなんですか?
あなたが20代以降であれば、きっと世の中の広さと荒波を知っていることでしょう。その中で生きていくことの素晴らしさも、大変さも味わっていることでしょう。
1年に1回でもいいから、ふと立ち止まってみてほしい。
7歳の時や、10代の頃に思い描いた夢や、こういう自分でなりたいというものを、時々思い出してあげてほしい。
今違うからダメだったと嘆くのではなく、当時の夢を取り出して眺めてみるだけでいい。それはそれで素晴らしいのだと思うのです。
じゃあ、30歳なら30歳の、40歳なら40歳の今この瞬間の自分自身が、どうしても譲れぬ、諦めきれぬと思えるものは何か?ないかもしれないけれど、あの頃あったのであれば、今も気づかないフリをしているだけで、本当はあるのかもしれない。
何かに夢中になる、そんな日々は僕は素敵だと思う。
人生で一番若い日は、今日。