数年来の感動本 〜「生命科学的思考(高橋祥子著)」を読んで〜

現象を物理学で捉える, 書評(という名の感想文)

大変失礼ながら著書を読んで初めて高橋祥子さん(ジーンクエスト代表)という方を知りました。

比べるのも大変おこがましいですが、物理学出身ながらビジネス界隈にどっぷりと浸かっている僕自身のモチベーションとしては、あらゆる物事の原理原則を知りたいというところにあり、それらはこのブログの中でも何度も書いてきました。

10年以上も前の高校時代からブログを書き綴っていた僕はいま28歳で、自分自身で会社を作り、(業務委託だけど)メンバーを抱え、書籍を通して学び考えたこと、コンサル時代に経験したことを、今度は自分自身で「再現をする」というフェーズに突入しました。大変だけれどすごく楽しい。

原理原則を見つけることから、再現するという段階に入った今ですが、この9月末を持って会社も無事一期目を終えることができます。

このタイミングで改めて、社会やビジネス、経営や組織を「科学的に考える」ようは「原理原則を見出す」「方程式を作る」ということをしようと改めて思わせてくれる本に出会えたことは、何かしらの意味があるとすら思えて止みません。

以前このブログにも「現象を物理学で捉える」というカテゴリを作り、社会やビジネスの色々を科学的(物理学的)に説明しようと試みたことがありました。

ただ、今見返してみると2年以上前の前が最後の更新となっており、そもそも今のいままでそんなカテゴリを作ったことすら忘れていました。

高橋さんの著書「生命科学的思考」をたまたま書店で見つけ手に取り、一気に読破して今なお興奮が止みません。ここ数年の読書で一番惹きつけられた本でした。

ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考 (NewsPicksパブリッシング)

 


経営や物事の原理を考えるときに、科学的なバックボーンがある人というのは、世の中の事象をこういうふうに見ているのだということを、悔しくなるくらいにうまく言語化した本。

「時間」という概念は僕自身のブログの中にも数多書いていますが、著書の中で特に「時間」の概念について、高橋さんなりの解釈で書かれている点が素晴らしい。

「時間は、自分という単一の変化のみでは存在できず、環境など複数の変化があることで初めて存在し認識し得るものである」のだと。
そして我々が認識する変化は「自然変化」「環境変化」「行動変化」「生命変化」の4つに分類することができ、この中で何と何を比較するかで、時間の感じ方が異なるという思考はまさに秀逸。

物理観点で言うと、あらゆる現象は「相対的である」という前提があるので、時間もまさしく相対的であるわけですが、「何に対して相対的であるか」という点を、単に「観測者に対して相対的」とするのではなく、4つの変化に対して相対的であるという論は僕は脱帽でした。

一貫して生命の原則である「個体として生き残り、種が繁栄するために行動する」という点に基づき、個人単位から人類、地球、生物の歴史など、大小(そして時間軸も横断的)さまざまなスコープ(視野)で話が展開するのが印象的です。

・科学的に考えることが好きな人
・理系のバックボーンを持ちながらビジネスをしている人(ビジネスの領域は問わず)
・哲学的に考えることが好きな人

にはお勧めの本ですので、興味がある方はぜひ。