続・経営者のアタマの中を見る(人事制度編)
「経営者のアタマの中を見る」という記事の続きです。
1と2の続き。
今回は「3、組織と人事制度について」という内容を書きます。
1、会社全体の業績、方針について
2、営業手法(提案営業/コンサル営業)とマーケティングについて
3、組織、人事制度について
4、情報習慣について
1と2についての記事を読んでいない方でも読める内容ですが、良ければ前の2つも合わせてご覧ください。
会社経営で大切なことは「評価制度」にあると知る
「評価制度」が大切なことと書きましたが、勿論、他にも「キャッシュフロー」も大切ですし、仕事を作り出せる「営業力」も大切です。
僕自身が一貫して経営者から教えてもらったことは、何よりも現場レベルでの言行一致が大切で、そのためには会社の仕組みとしての「評価制度」に根源があるということです。
経営者のみなさんにとっては、”人”に関してのお悩みごとが尽きることは有りません。
どうやったら良い人が採用できるのだろう。
採った人をいかに育てていけばよいのだろう。
今の社員をもっと成長させるためにはどうしたら良いのだろう。
今いる社員で最大のパフォーマンスを出すためにはどうすればよいのだろう。
そういったことに常日事頭を悩ますことこそが、経営者の宿命と言っても良いかもしれません。
以前に書いた記事で『経営で一番大切な「嘘をつかない」という難しさ』という記事があります。
いかに社員の方に動いてもらうか、より成果を上げてもらうか、ということは経営者がずっと考えているお悩みごとの1つだと思いますが、その仕組こそ「評価制度」にあると知ることです。
評価制度とは、会社経営で最も大切な「嘘をつかない」ことを体現する唯一の方法です。
無意識の嘘というのが一番罪が重いのです。会社を伸ばす社長、潰す社長の一番の違いはこの「嘘をつかないかどうか」「言行一致が出来るか否か」ということにあります。
評価制度とはなにか?
評価制度とはつまり「お金」と「人事」のことです。
社員が何で動いているのかといえば、「お金」と「人事」以外にはありえない。
そういった人の本質を捉えなければ、本質的に人を動かす側には立てません。
その本質は世の中を虚心坦懐に見つめ、歴史から学び、本質を突き詰めると見えてきます。
僕のような外部から企業や経営者のお手伝いをする仕事を担う人間にとっては、それら本質に近づく手助けをすると同時に、その企業にとっての本質を経営者と一緒になって見つけ出していくことこそが、価値を問われる瞬間なのです。
人事制度は三位一体
評価制度というのは、人事制度のひとつです。
人事制度とは、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の三位一体のことです。
等級制度とは、理想の社員を言語化したものです。
評価制度とは、何をやったら評価されるのかを言語化したものです。
報酬制度とは、評価に対していくら支払うかを言語化したものです。
つまりは人事制度とは、
・うちの会社はこういう社員を目指していて、
・これをやったら評価しますよ
・そして給料(賞与)に反映しますよ
という会社のメッセージのことです。
中でも会社の運営に置いて大切なのは「評価制度」ですが、人事制度を作る上で最も難関なのは「等級制度」を言語化することです。
等級制度とは、理想の社員像を定め、そこから階段形式に序列を付けます。
例えば5段階で序列を付けたとして、
・社員レベル1に求められる能力や役割はこういうもの
・レベル2だとこれくらい、最大5だとこれくらい
というものを定義づけしていく必要があるわけです。
等級制度を定める上で何が難しいかと言うと、レベル5の社員像を定義することです。
理想の社員像が必ずしも社長とは限りません。
企業が何を目指していて、どういう社員であれば理想の状態なのか?を言語化することは、かなりの教養とビジネス力が求められるわけです。
どうしても抽象的にならざるを得ないわけで、その抽象的な言語化をできるだけクリアにするために、僕らのような外部コンサルがサポートをするわけです。
最終的にはその企業ならではの目指すべき社員像を定めますが、それに至るまでに、他社ではこういうことがありますだとか、そもそも経営者の頭の中にあることを言語化するお手伝いから入ることが多いのです。
「人事制度はパッケージ化されている」とよく言いますが、会社の血液とも言われる人事制度が、そうそうパターン化されるわけではないのです。