続・経営者のアタマの中を見る(営業改革編)

2021年1月10日挑戦するセールスパーソンたちへ, マイビジネス, 経営者向け

「経営者のアタマの中を見る」という記事の続き。

経験則だけに捕らわれて語るのはカッコ悪いと思うのですが、一方で、経験がないと語る内容に説得力がないのも事実。
僕が書くスタンスとしては「見たもの・経験したこと」をベースにそれらを僕自身の中で昇華させて、本質をちゃんと言葉にしたいなと。そんなことを考えながらブログに向き合っています。

2、営業手法(提案営業/コンサル営業)とマーケティングについて

企業トップとしての経営者が考えることの大半は「いかに売上(利益)を増やすか」ということですが、中でも営業に関するお困りごとは非常に多い。

元来、「営業」と「マーケティング」は相反する考えなのですが、それらを同じカテゴリの中で考えようとするビジネスパーソンの非常に多いこと。。

さて、僕が一緒に仕事をしてきた企業の中で、「営業的に売上を伸ばす」ことを約束したプロジェクトは1つもありませんが、それは僕の「売上が伸びるのは結果論である」という基本的な考え方に基づいています。

外部コンサルが関わることにおける価値は「売上向上の約束をすること」ではなく「お悩み事を解決すること」にありますし、僕自身の企業との関わり方はその1点につきますから、結果的に売上・利益が向上することはあっても、それは企業と経営者の努力の賜物です。

この前提があった上で、企業が抱える”営業”におけるお困り事について、
まず、経営者が何を考えているかというと、

・自社の営業マン、営業手法がどういうレベルにあるのかを知りたい(=現状把握)
・提供するサービスの単価が適切なのかを知りたい、その単価を上げる方法がないのか模索したい
・単なるモノ売りになってしまっている営業マンの現状を打破したい
・「付加価値」を付けた提案営業を実施したい
・顧客から問い合わせが来る仕組みを構築したい(=マーケティング)

と言ったことにあります。

僕自身の考え方の基本は「押し売りをするのはカッコ悪い」「いかにお願い営業をしないか」という仕組み作りを前提にしています。ですから、営業に関するお困り事についても、いかに押し売りをせずに、顧客からの問い合わせによって売れる仕組みを作れるかを経営者と一緒になって考えていきます。

原理原則であり、かつ、具体的に大事な施策が「既存顧客を感動させる」ということです。

よく「営業とは何か?」といったことを営業マンに考えさせる研修があったりもしますが、僕自身は営業マンがそれらを考えるのは無駄とは言いません。
ですが、まずは経営者自身が「営業とは?」を考え、言語化し、会社として実践しない限り、いかに現場の営業マンが「営業とは、お客様の感情を動かす仕事である!」というようなアウトプットをしたとしても、それが形になることは(ほぼ)ないと断言できます。

数十年と長らく商売をやっている経営者は、いかに「長く買ってもらえるか」とか「顧客に知り合いを紹介してもらえるか」ということの大切さを知っています。

現場の営業マンのレベルを上げることは重要ですが、会社全体として「既存の顧客を感動させる」を徹底できる仕組みを作り、「顧客から顧客の紹介が相次ぐ」マーケティングの仕組みを作ることを徹底しなければ、営業戦略も、営業マンの育成や改善も、それらの大半が絵に描いた餅で終わってしまうわけです。

営業に関するプロジェクトは全て、経営者の意識を変えることから始まるのです。

現場浸透は”圧倒的な”PDCAサイクルを回す以外にありえない

さて、実際に営業に関する施策を行う場合は、上で書いたように経営者の意識を変え、会社全体の仕組みを練り上げて行く部分と、同時に現場の行動改善を図っていくことも実施します。

営業戦略が云々…という話もしますが、外部のコンサルが営業戦略立案に関わること自体で大きな価値を生み出すことは少ない。「営業戦略」とかいうと言葉はかっこいいですが、それ自体では利益を出さないということは事例が証明しています。
(よほどの大企業に、大掛かりなコンサルティングファームがプロジェクトを組んで、「この事業を撤退しましょう」とか「この領域に進出しましょう」という経営戦略を提示する場合は別ですが)

本質的には、現場の意識と行動の改善を徹底すること。

行動改善で重要なポイントの1つは、「いつまでに、誰が、何をするのか」を決めることと、決めたことを徹底することにあります。超シンプルですが、僕はこれこそが本質だと思っている。

絵に描いた戦略を実行するには、圧倒的なPDCAサイクルを回し続けるしかありません。ありきたりな言葉のようですが、徹底した実行以外に勝る施策はありえない。

 

イメージしやすいように、例えば「営業会議」の場面や、営業マンと顧客とのコミュニケーションを取る場面を想像してみて下さい。

企業には多くの場合、1年間の営業売上目標というものが設定されています。
(設定されていないケースもありますが、その場合は、会社の事業計画の一環として、営業目標を設定するところから手伝いを始めます)

その年間目標を半期ごとに割り振り、更に月次の目標に落とすということまでは、一般的に行われているわけです。

ここで少し突っ込みますが、その毎月の営業目標は、全体として毎月、きちんと達成されていますか?
また、営業マン個々人に割り振られている数値目標は、全員がきちんと達成していますか?営業部長などの責任者は、営業メンバーの数字達成に責任感を持ってコミットしていますか?

ほとんどの場合、答えは「ノー」のはずです。

営業目標を達成する月もあれば、達成しない月もある。
営業目標を達成するメンバーもいれば、達成しないメンバーもいる。
といった状況で、営業改善を行おう!なんてあり得ないと思いませんか?

もう一歩突っ込みますが、「達成しなくてもしょうがないよね」と思っている人はいませんか?むしろ営業部長などの責任者がそう思っていたりしませんか?
営業マンの中には、「まあ、今月も数字がいかなくても、しょうがないよね」と思っている人はいませんか?なんなら、そういう人が大半ではありませんか?

営業部長やリーダーなどの人たちの仕事は「数字の管理」になっていませんか?
部下やメンバーに対して「なんで数字がいかないんだ!」と詰めることが仕事になっていませんか?
「いきません」と答える部下やメンバーに対して「じゃあ、どうする?」と聞くだけのマネジメントをしていませんか?そんなマネジメントに意味がありますか?そもそもそれをマネジメントと呼ぶのでしょうか。

管理職などのマネジメントをする側(=責任者)の仕事は「管理」ではなく「数字責任」ですから、部下やメンバーを詰めることに1円の価値もないことに気付きましょう。部下の数字がいかないのであれば、それは全て責任者が自分で数字を作ってどうにかしなければ、責任者の意味がありません。
営業会社にありがちですが、管理型の無能な管理職がはびこるのは、間違いなく経営者の問題です。

「あ、自分たちの会社も同様だ」と思ったのであれば、無能な人を管理職に登用した会社の問題であり、その会社の仕組みを作ってしまった経営者の問題以外の何物でもありません。

現場は疲弊し、経営者だけが高い報酬をしてのほほんとするのは勝手ですが、そんな会社の末路は見えていますし、優秀な人材から順番に辞めていってしまうのは当然の結果です。

と、ここまで書いてきたのは「多くの企業の実態です。リアル過ぎるかもしれませんが、大半の現実です。

僕のブログを読むような方であれば、上で書いた状況の中で、いかに「営業改善のプロジェクト」と行っても無意味だと言うことに気づくでしょう。

そもそも達成されない目標を追っていることに意味はありません。

そもそも無理難題の目標なのであれば、目標自体を変える必要があります。それは経営戦略、事業計画の問題です。
一方で営業責任者以下、現場の意識と行動の問題なのであれば、いくらでも改善しようがあります。

「営業戦略を描く」「マーケティングを構築する」「提案コンサル営業を実施する」というような、一見するとかっこいい言葉に踊らされず、当たり前の行動改善を図っていくだけで、成果は見違えるようになります。
もしそれらを全部やりきっていて、それでも現場が疲弊しているのであれば、そもそも目指すべき方向性が間違っているということです。

未だ、やれること、やるべきことが残っていると感じるのであれば、会議のたびに「誰が、いつまでに、何をするのか」を決め、それらは全て実行されるべきです。

顧客とのコミュニケーションにおいても同様。
営業マンが顧客と「ネクストアクションを握る」ということの大事さは、以前の記事で書いていたので、興味があれば読んでみて下さい。

「売り方、売り先、売りもの」を変える

さて、上で書いたような現状認識を行うだけでも、十二分に外部コンサルとして関わる土壌作りができる一方で、コンサルティングを行う際に現場は「実行を徹底する」ことに抵抗感を示します。

すべてのコンサルティングに共通するのですが、トップの意識を変え、トップから繰り返し改善の重要性を社内に発信してもらいます。

外部の人間がいくら社内に対して変化の重要性を説いたところで、社内が全員「社長の顔色」しか見ない組織なのであれば、取り組みは全て無駄になるどころか、逆効果以外の何物でもない。コンサルティングフィーを全てドブに捨ててしまうようなものです。

(それでいて「高いフィーを支払ってコンサルティングを依頼したが効果はなかった」と言ってしまう経営者もアレですし、そう言わせてしまうコンサル会社も微妙だと思いますが・・とはいえ、水準以上のコンサルであれば分かってあえて黙っているケースもあります)

社内の意識醸成、そして行動改善を行う土壌作りが出来てから、ようやく具体的な営業手法の改善に取り組んでいきます。

重要なキーワードとして僕がよく挙げるのが「売り方、売り先、売りもの」を変えるということです。

売り方を変えるというのは、例えば対面重視からWEBを用いたサービス提供に変えるということ。
売り先を変えるというのは、今までの顧客以外の業種業界やターゲットに対し提供していくこと。
売りものを変えるというのは、文字通り商品やサービスを変化させたり、お金をいただくポイントを変えるということ。

発想を変えるということですが、それまでの業種業界の慣習を打破するのは、日々の情報に対する意識変化ですから、肝を据えて取り組んでいくことが求められます。

特に重要だと僕自身が思っているのが「売りもの」を変えるという発想。
実は一周回って原点に帰ると思っているのですが、そもそも顧客は何に対してお金を払っているのでしょうか?考えたことがありますか。

それはもちろん「商品」や「サービス」に対してでしょ、という回答がその通りなのですが、実態として多くの営業マンは「売るまで」に最も力を注ぎ、受注のあとに対してはほとんど(あるいは全くと言っていいほど)見放してしまうのです。

顧客は商品やサービスを「買うこと」にお金を支払っているのではなく、買った後に対してお金を支払っているのです。
その商品を買った後、商品を使用することによって得られる快適さや満足であったり、あるいはサービスを導入した後の快適さや不快を取り除くことに対して、顧客はお金を支払っているのです。

顧客からすると「買った後」であり、企業からすると「売った後」にこそ、発想の転換があります。そこに力点を置いて顧客感動を目指すと、間違いなく顧客はリピーターになってくれますし、次なる顧客を紹介してくれるようになります。

それこそがまさしく最強のブランデイングであり、最高のマーケティングだと思うのですが、いかがでしょうか。

この原則を押さえたうえで、自社が提供するものを見つめ直して見て下さい。きっとヒントに繋がるはずです。

僕が提供するコンサルティングサービスも同様です。
顧客の中に無かった発想を、手を変え品を変え、これでもかという形で提供します。

上で書いたようなことを、半年から1年間をかけて取り組んでいくわけですが、結果として企業が1年先に得られる利益は、僕に対して支払ったコンサルティングフィーの何倍にも及ぶわけです。

・月1回、月額10万円〜で経営者とのディスカッションを行います(回数と内容は応相談)
・必要に応じてプロジェクトフィーが合意されれば、さらに現場の会議同席や営業同行も行います

オーダーメイドでカスタマイズした内容を提供しますので、個人コンサルのご相談はこちらのお問い合わせページからどうぞ。

続きはまた次回の記事で。
今日も読んでくださって、ありがとう。

(追記)
続き「3,人事制度編」はこちらから。