「コンサルティング」という形のないものを売る

挑戦するセールスパーソンたちへ, マイビジネス

僕個人の会社で5月からまた新しいプロジェクトが決まった。

3月末に「はじめまして」の企業だったので、1ヶ月ほどで無事成約にいたり、5月から始まる新たなお仕事となった。有り難い話だ。

「僕個人の会社」と書いたのは、今回の案件は僕ではなく一緒にやってくれているメンバーにフロントに立ってもらう。
ようは顧客折衝のメインが僕ではないということ。クライアントワークを僕以外の人に任せるというのは初めての取り組みになる。

3月末に初接点をもった際は、僕1人が営業として接点をもっていた。

クライアントに対し初回の打ち合わせから関係性を作り、要望を聞き、やりたいことの整理をして話を広げた上で、具体的なプロジェクトに落として提案をし契約をする。

途中からもう1名の人に立ってもらい、営業からクロージングの入り口までやってもらった。(決まっておめでとう!)

決まった仕事、プロジェクトだけを一見すると、そこまで難しい話ではないように見えるだろうが、一連のプロセスを短期間で行うのはそう簡単な話ではない。

これはコンサルティングという目に見えないものを売って対価をもらうという仕事を実際に経験したことがある人にしか分からない難しさがある。

信頼を築き自分自身を売る

会社から既成の製品を与えられそれを売っているセールスパーソンは世にごまんといる。もしかするとこの文章を読んでくれているあなたも1人の営業マンかもしれない。

「ソリューションセールス」なんていう呼び名があるが、ようは顧客の要望に対し、解決策(=ソリューション)をカスタマイズして売るということだが、これが思っているより難しい。

まず、そもそも顧客の要望を正しく理解するのには、一定のビジネススキルが必要になる。
そしてここに落とし穴があって、顧客の課題やお困りごとというのは、本に書いてあるような「綺麗な課題」ではなく、そもそも「何が課題か分からない」という状態からスタートするケースが多いからだ。

コンサルティング営業を始めた人の多くが陥る落とし穴としては、そもそも顧客と話をするところまで到達しない、ということ。
コンサルティングは究極のサービス業と言われる所以はそこにある。

営業的な話になるが、そもそも顧客は「我が社の課題はこれです」と見ず知らずの人に本音を見せることはあり得ない。初対面の人なら尚更だ。

顧客の要望を整理する以前に、そもそも話をする土俵に上がっていないというケースが往々にしてあるのだ。

初対面の社長に対し、限られた時間の中で自分自身を信頼してもらい、困りごとを話してもらう。
そしてその解決策として、製品ではなく自分自身の頭と心、知恵と人間性を買ってもらうのだ。

年間換算すると数百万という値段で、あなたの時間を買ってもらうのだ。

一定レベルを超えると、製品よりも自分自身の方が売りやすい

これもまた実際にコンサルティングサービスを売る経験をした人にしか分からない話だと思うが、ある一定以上の水準のコンサルタントたちは皆、全員「値段が決まっている製品より、自分自身を売る方が簡単だ」と確信している。

これはもう間違いない。一次情報として数多の声を聞いた。
ただし、社内ではもちろんそんなことは言わないのだけれど。

売る製品やサービスが決まっていないということはつまり、どんな形でも売ることができるということだ。

本質的にはコンサルティングサービスというのはオーダーメイドであるし、もちろん僕の関わるプロジェクトも多種多様である。
いまはコンサル会社も「専門性」を謳っており、ある業界やテーマに特化した専門のコンサルティング部隊をいくつも社内に抱えるという図式を取っている。

僕からすれば、本質的なコンサルティングサービスというのはオーダーメイドなのだから、パッケージ販売はあり得ない・・と思うのだがそこはコンサル会社も食べていくためには手段を問わないということなのだと思う。
(実際にパッケージ化して売っていく方が効率的である)

まるで水のように、顧客の状況や要望に合わせて、自在に形を変えてサービスを提供できるということは、どこに行っても通用するビジネス力である。
そして自分自身を買ってもらう力があるのであれば、人間社会で生きていく上でも困らない。

 

僕が書いていることの意味が分かる人がどのくらい、いるだろうか。
少しでも何かのヒントになれば嬉しいです。

いつも読んでくださって、ありがとう。