営業では相手の立場・ミッションを把握して提案しよう
前回の記事に引き続き、世の多くのセールスパーソンたちが悩んでいるテーマについて考えてみよう。
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セールスには2通りある。
1つは「シンプル・セールス」と呼ばれる、誰が売っても同じ商品・サービスを比較的安価で提供するというもの。
そしてもう1つは「コンプレックス・セールス」というもので、ここでいう「コンプレックス」は「複雑な」という意味だ。
文字通り導入・提供までに時間がかかったり、複数の関係者が関与しなければ購入できないという意味で、複雑な営業という意味だ。
1つ目の「シンプル・セールス」とは、要はその商品が自動販売機やアルバイトの店員で十分売ることができるもの。
逆に2つ目の「コンプレックス・セールス」はセールスパーソンが試行錯誤をして提供するもの、と大きく分けて考えてみる。
営業にはシンプルであればコンプレックスであれ共通の要素があるのだけれど、ここでは特に後者の「コンプレックス・セールス」を考えて書いてみたい。
BtoB営業の基本は「お金の流れを理解する」ということ
これは以前にも何度か書いていることなのだけれど、対企業へのコンプレックス・セールスでは、何よりも「お金の流れを理解する」ということが重要になってくる。
僕も3年間、営業前線にいたときに、明らかに自分自身のフィーが跳ね上がった瞬間が何度かあったのだけれど、そのいくつかの転機の中で最も影響が大きかったのがこの「お金の流れを理解する」ということだった。
お金の流れとは、例えばバリューチェーンとも言い換えられるが、ようは目の前の顧客が「誰をお客さんとしており」「誰のお客さんであるのか」ということを知ることだ。ビジネスモデルを知るということも含まれる。
例えばこれがBtoCの事業を展開する企業ならわかりやすい。
僕ら自身が消費者としてイメージできるからだ。食品、飲料、文房具、車、家電、などなど。
でも、それらの企業はあくまでも出口であって、その出口に至るまでにいくつもの企業が連鎖している。その大半はBtoBの企業なので、外から見るとビジネスが見えづらいのだ。
1人のセールスパーソンとして対企業に向き合うとき、目の前の企業が何に困っているのかを考えるには、お金の流れを知って、ビジネスの構造を知ることから連想していけば良い。
そこにはもちろん業界特性、業種特性はあるけれど、お金の流れは事業の構造なので、構造の特性をきちんと理解してあげたうえで、目の前のお客さんがいうことを眺めてみよう。見える景色は大きく変わることをお約束する。
お困りごとを正しく把握する
BtoB営業の考え方で特に重要なのは、相手の立場に立って話すということなのだけれど、この「相手の立場に立つ」ということは言うは易しだが結構難しい。
セールスパーソンの人たちは、顧客に対して「この商品(サービス)はこんな素晴らしい利点があるんです」という「機能のメリット」を話したり、あるいは「こんなに安い価格なんです」という「価格のメリット」を話したりするわけだけれど、それらのメリットが必ずしも相手にとってのメリットかどうかは分からない。
自社の製品やサービスに対しては尚更バイアスがかかってしまうのだけれど、「こんな機能が!」と素晴らしい機能だと思っていても、必ずしも相手にとってその機能が重要だとは限らない。
「こんなについて、こんなにお買い得!」と値段やコストが魅力だと自分たちでは思っていても、必ずしも安さがメリットになるとは限らない。安い・高いというのは相対的な感覚だからだ。
この「相手の立場に立つ」ということは「想像力を働かせる」ということなのだけれど、まあそれが簡単にできるなら誰も苦労しない。笑
ということで、1つヒントを書いてみる。
特にBtoB営業において有効なのが「相手のミッションを正しく理解する」ということ。
これは相手が経営者かそれ以外かによって変わってくるのだけれど、経営者ではない多くの人たち(〇〇部の部長とか課長とか担当者とか)に対する商談では、その人たちが会社から課せられているミッションを正しく理解することは大きなヒントになることが多い。
ミッションというのは「これをやってね」と会社に与えられている仕事ということで、会社員というのは与えられたミッションを達成すれば評価されるし、達成できなければ評価されないわけだから、その人が「良いと思う提案かどうか」よりも「その人の立場やミッションに沿っている提案かどうか」のほうが影響力が大きいということ。
相対しているその人が決裁ができるかどうか(=自分でハンコを押せるか否か)も重要で、決裁者であれば「何をポイントに決めるのか」ということを確認するし、その上の役職者に打診する必要がある場合は、何が打診のポイントになるのかを把握する。
・相手の立場やミッションに沿っているか
・その会社の決済のポイントを押さえているかどうか
という前提の上で、相手の立場を想像してお困りごとを考える思考があると、セールスパーソンとして結構いい感じの水準へ到達できると思う。
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そこから先は提案をどうするとか、細かいところは色々あるけれどそれはまた別の機会に書いてみよう。
重要なのは「お客さんのビジネスの構造を理解して」「相手の立場に沿ったお困りごとを一緒になって解決する」という2つのポイント。
それを踏まえた営業マンは、結果に繋がる確率も増えるはずなので、トライしてみてはいかがでしょうか。
今日も読んでくださってありがとう。