SEになりたいと思っている人へ。SIerって消費されるだけじゃない?

2019年10月27日就活概論(考え方), 働き方・キャリア, 複業, ビジネスパーソン向け

 

就活生の多くは、エンジニアになりたいという。プログラマーということ。
中でもSE(システム・エンジニア)になりたいという人は数多いけれど、僕が社会に出て「無思考的にSEを選択するのは微妙じゃね?」と思うことが多くなったので、思うことについて書いてみる。

世の中の企業にはIT周りのイロイロがあるけれど、そのIT周りのイロイロ(コンピュータとか、システムとか、ネットワークとか)に対する専門性を仕事にすることを「SI(エスアイ:システムインテグレーション)」という。

そしてSIで事業に従事する人たちのことを「SIer(エスアイアー)」という。まずは前提の話。

IT業界の仕事をほとんど知らない人たちにとっては「エンジニア」と一括りにされてしまいがちだけれど、実はエンジニアという仕事は大きくざっくり2つに分かれている。

1つは、自社サービスを持つエンジニア。
そしてもう1つが、SIerと呼ばれるエンジニア。要は自社サービスを持たずに他社向けのサービスのみ行っている人。

就活生しかり多くの大人たちも一括してこの「エンジニア」という仕事を捉えがちだけれど、中長期的にみた場合はSIerの仕事というのは、とてもマズいと思っている。
何的にマズいのか?という話にはイロイロあって、そのことについて書こうと思う。

SI事業は構造的に疲弊モデルにならざるを得ない

自社のサービスを持っている会社というのは、もちろん同業他社との勝負にならざるを得ません。
コストを下げるとか、何か価値ある機能をつけるとか、経営者はいろんなトライをするわけです。

自社のサービスを持っている会社というのは、経営者以外のたとえば営業サイドも、開発サイド(エンジニアということ)も、価値を高める試行錯誤ができる。
それをすることによって、大きなチャンスを得られる可能性があるというのは、自社でサービスを持つ側のビジネスを展開している会社です。

一方で、SIerの企業というのは基本的に他社から案件を受託して開発をしたり保守運用をしたりするわけです。

もちろん大手のSIerなら何百人単位の開発プロジェクトに関わるという経験ができるメリットも多いですが、反面、自社工夫をすることが構造的に難しいというビジネスモデル上の側面があります。

他社の仕事を請け負っているだけのSIer企業は、結局は受注の「数」を増やしていくしかない。
だってどれだけ優秀なアルゴリズムを考えたり、価値を付与しよう!と思ったとしても、結局は決められた仕様書通りに開発しなければならないわけですから、コスト勝負にしからならない。工夫する余地が限りなくゼロに近いということです。

「SEの企業はブラックが多い」とよく言われますが、疲弊するにはするだけの理由があるのだということを考えてみてください。

自社のサービスを持つ企業の開発の場合、「そもそもの仕組みをこう変えたら良いのでは?」というような工夫だってしようと思えばできる。
でも、SIerの場合は構造的な制約条件がかかってしまうので、その差はとても大きい。

エンジニアになりたての20代とかで、大きな開発案件に関わりたいから大手のSIerを選ぶとか、基本スキルを身につけるためにという理由でSIerを選択するのは全然アリだと思います。が、長い目で見るとジリ貧にならざるを得ないですよ、ということは念頭に置いていた方が良いのでは。という話。

 

消費されずに疲弊しない場所を選ぶためのアドバイス

超・当たり前の話を書きますが、なかなか難しいという実態もよく理解をしているので、読んでみてください。

まず1つは、外部環境をきちんと知ろうよ、という話。

業界の構造がどうなっているのか、ということはもとい、他の業界と比べてどうだとか、日本のSIってどうなるんだ?とか。

例えば、日本という経済は今後間違いなく縮小をしていく中で、自前主義のITサービスはジリ貧になりますよねだとか、労働人口が縮小しているので外国人労働者を安く雇い入れる策を講じると(実際に解禁されていますが)日本人の失業者はどんどん増えていくし、人件費の高い日本人のエンジニアなんていうのは間違いなく「さようならの対象」になるでしょう、というのは普通に考えれば容易に想像ができるわけです。

別にエンジニアに限った話ではなくて、今自分がいる会社や業界やその周辺がどうなっていくだろうか?ということは、他の業種業界や他の国と比較するための情報をちゃんと仕入れながら判断していくことで、自ずと見えてくるというわけです。

 

2つ目は、「必要なスキルを身につける」ことではなく「その都度必要なスキルを身につける」という発想を持とうよ、ということ。

例えば、プログラマーの人たちはいろんな「わかりやすいスキル」を身につけることができます。わかりやすい例は「〇〇の言語でコードが書ける」というものですが、実は数年前に流行ったけれど、これからの時代は全く使われないプログラミング言語というのは存在するわけです。

PythonとかRubyでコードをかけるスキルというのはまだまだ存在すると思いますが、Perl言語はなくなるだろうし、他で言うならば例えばC言語でプログラミングができる能力は今後は必要ないでしょうが、今置き換えられない業界やシステムはC言語で書かれているので生き残ってはいくだろう、とか。

※僕自身はエンジニアではないので詳しくは分からないですが・・

ちなみにエンジニア初心者とか、個人で何かサービスを作ってみたいと言う人はとりあえずブラウザで動くJavaScriptとかHTMLを触ってみると良いのではないでしょうか!(と言うことくらいはわかります)

スキルや能力というのは代替されていくものなので、一生食っていけるだけのスキルというものは基本的に存在しないと考えた方が良いのです。

自分のサービスやプロダクトをマーケットに小出ししてみる経験を持とう

「経営感覚を持とう」とよく言われるのには理由がありますが、言うだけでそれが出来るのであれば誰も苦労はしません。

エンジニアとして市場価値をあげたい!という人たちは多いはずですが、本質的に市場価値をあげようと思うのであれば、小さな規模でもいいので自分で何かビジネスをやってみる。以上に尽きるのだと思うのです。

要は単にコードをかけます、スキルがあります、と言うよりも、ビジネス全体の絵が分かっている人たちの方が圧倒的に市場価値は上がりますし、エンジニアとして出世しようとか転職しようとか独立しようとか思っていれば尚更、ビジネスサイドの人たちと話をしなければなりません。

ビジネスサイドにいる人たちに対して「コードが早く正確に書けます!」とか「このスキルがあります!」と言ったところで「??」なのです。

であれば、話は戻りますが、自分自身で何か小さなビジネスでもいいから全体がわかる経験をした方が圧倒的に早く「ビジネスの全体像」と言うものを掴むことができます。

以前、こんな記事を書いたのですが、この記事の下側に「今の会社に勤めながらで良いから、マーケットに出てみる経験をしよう」ということを書いています。

【転職と就活をアップデートせよ】に学ぶキャリアの描き方

基本的にエンジニアでも他の職種でも会社員が向き合っているのは社内です。
もちろん顧客に対して仕事をしてはいますが、それが評価されるのは社内だと言う仕組みがあるということです。

それはそれで置いておいて、であるならば自分自身できちんとマーケットと対峙する機会を持とうよ、ということを言いたいわけです。

エンジニアの人であるならば、アプリやサービスを作ったりするスキルを持っているわけですから、自分の時間をきちんと確保して開発をして社会に出してみて、もちろん一本で当たるわけがないのでいくつもリリースをしながら自分の蓄積資産を増やしていくことだって出来るわけです。

何本目かに一本でも当たるとラッキーですし、自分のプロダクトを持てるとそれが自分の市場価値になるとは思いませんか?

そうすると、めちゃくちゃ忙しいSIerで忙殺されると言う生き方は損だと思うのですが、いかがでしょうか。と言う話。