こんな時代だから、資格くらい取らないと・・ってホント?

2019年3月26日日々徒然

なんかずーっと前から不思議なんだけれど、「いまの時代は不況なんだから、資格くらい持っていないと!」と20年くらい前から語られていて、そんなものかなあ?と思うのです。

僕のオジが、その昔何年にも渡って司法試験の「受験勉強」をしていたのが幼い頃から目に焼き付いているからでしょうか。
そのオジは幼い僕にはすごく優しくしてもらったし、遊んでももらったし、ドライブに行ったり買い物に行ったり公園に行ったりして楽しい記憶が残っています。

それはそれですごくいい思い出なのですが、とはいえ生き方として「こういう大人になってはいけないんだろな」と幼心から素直に思っていました。
というのも、結局彼は実家から出て一人暮らしをしたこともなく、サラリーマンが務まらなくて辞めたあとは「司法試験の勉強をしている自分」が好きで、テレビの前で参考書を広げたまま1日中お酒を飲んで過ごしていました。

どこかで人生を変えるきっかけがあったはずなのに、、
と幼少期の僕も思っていましたが、結局彼は仕事と人生の不遇さに文句を言い続けて過ごしていたのが印象に残っています。

さて話は戻りますが、今僕は仕事柄、あるいはプライベートでも、なんらかの有資格者に会うことがよくあります。
今の時代は資格ブームと言われて10年以上経つのだと思いますが、正確には資格ブームなのではなく、「資格取得を目指している自分の姿を確認する」ことがブームなような気がします。

あるいは女性に多い習い事産業もそうですね。自己実現の時代と言われている今の世の中で、「何かをやっている自分の姿を見る」ということが嬉しいのです。

僕はビジネス側としてもそういうものを作り出す観点にも立ちます。
自己実現は素晴らしいですし、勉強をしたいという意欲も素敵だなあと思います。

一方で、資格があれば世の中どうにかなる、と本気で思っている人たちに対しては、ビジネス観点でいうと「コンプレックス解消産業」なんだな、と思うわけです。
まさしく、それまでのツケを払うべくコンプレックスを解消する人間心理をうまく活用した産業なのだなと思うのです。

 

少し前に「これからのグローバル時代、英語くらい喋れないと」と社会を煽って、駅前英会話やオンライン英会話がそれはものすごい勢いで拡大していきました。

「英語くらい喋れないと」というのは「資格くらい取得しないと」ということと同じですが、大切なことは、資格取得の大事さを大声で謳っているのは資格学校であるということなのです。

今はそれが自己実現というなの自己投資へシフトしている感はあります。

医者や弁護士も、当たり前ですが資格を持っているだけで生き残れる時代ではないのです。

ビジネススクールも流行りすぎてもはや何が何だかわからない時代ではありますが、真のビジネスエリートというのは「MBAを持っているから」優秀なのではないのです。

経営コンサルタントが「中小企業診断士を持っているから」経営をアドバイスできるわけではないのと同じことです。

余談ですが、僕は仕事柄、経営者の方々もしくは大企業の管理職の方々と仕事をしています。

僕が入社したての頃、いろんな企業を訪問していた時にとある初対面の中小企業の役員に「でも、君ってまだ若いよね、例えば何か資格とかもっているの?中小企業診断士とか?」と言われたことがあります。

まだ若かった当時の僕は「中小企業診断士レベルで経営コンサルができると思っているんですか?もっと勉強しましょう」と言ってしまったことがあります。

経営コンサルというのは、若くて経験が浅いからできない、というものではありません。
もちろん30年の経験があるからできるというわけでもありません。

大事なのはどこまで経営のリアルに対して当事者意識を持てるか否かだということ。そして、最低限の能力は必要なのです。

 

ちなみに、結構みんな知らないなあと最近知ったので書きますが、中小企業診断士は資格レベルではかなり難易度が低い資格です。

ぶっちゃけ言って、中小企業診断士を取得するよりも、難関国立大学に正門入学する方が何倍も難易度が高いのです。

日本国民の9割以上の人たちは、何十年勉強しても難関国立大学には入学できないのに対し、中小企業診断士は義務教育卒業レベルの知的レベルでも数年勉強すれば受かります。それくらいのレベルのものなのです。

そういえば、あの時1回だけ会って話したあの微妙な中小企業のおじさんは、いまだに中小企業診断士がコンサルに必要な能力だと思って生きているのでしょうか。

面接では大学院のレベルではなく、入学大学の水準を見られる

ちょっと前に僕の転職をしていった先輩から話を聞いたことを思い出しました。

その先輩の地元の友人が、海外の大学院に行き、今年卒業をして、日本へ帰ってきた後に日本で就職活動をするそうです。
初めての就職活動が20代後半ということ自体は別になんとも思わないですが、注意しておいた方がいい点があって、例えば企業がその人の履歴書を見たとする。

その時、最低限の能力を見る場所としては「海外の大学院卒業」ではなく「入学大学の水準はこのくらい」として見られます。

ないとは思いますが、もし、海外の大学院に進学しているから自分は優秀だと思っているのであれば、超・逆効果ですよ、ということに気づかねばならない。むしろマイナスなのです。

学歴ロンダリングという言葉は一般的な認知になってきましたが、大学院だけではなく、大学によっては3年次編入もあるのです。

企業の人事はそこまでバカではありませんから、人によっては卒業高校と入学大学をちゃんと見て、18歳時点での学力をきちんと推測する目を持っています。
そして例えば早稲田慶応というような私立大学に入学していたとしても、「ん?」と違和感を持って入学方法を割り出す。そのくらいの知恵は特に一定水準以上の人事というのは持っています。

ちなみに早慶の約半分は、入学試験を受けて入学した人じゃないということは周知の事実です。
それがいいか悪いかという議論ではなく、その辺りは知っておくと、色々話がスムーズですよね。

僕の職場にも、早慶卒の人たちがいますが、もちろん優秀な人もいますし、そうじゃない人もいる。
関西でいうと、実は京都大学卒業の中途入社の先輩もいました。

でも、「ん?これは・・どうも話が合わないな」と違和感を感じた人は例外なく、受験をして入学した人じゃなかったという過去の経験則はあります。ちなみに京大に3年次編入があることは初めて知りました。

長くなりましたが、要は資格とか上っ面の権威が通用した時代は終わりを告げ、その人の正直さを含めた真の難易度や価値の時代になっているのだろうということです。

ますます、いろんなものが、本来あるべきところへ落ち着くという、自然の摂理が適用される時代になると思っています。

自分の人生を生きたいですね。