「やりたいことがわからない」という就活生に対して 〜自分の中にリアルな手応えを積み重ねる就活をしよう〜

2019年3月3日就活生向け, 自己分析

「やりたいことがない学生が多い」という。

確かに、そうかもしれない。

あるいは、自分のやりたいことの「要素」が言語化できていない、ということなんだと思います。

ぶっちゃけほとんどの場合、学生の間に本当に自分のやりたいことはわかりません。(と、個人的には思っている)

なぜなら、やりたいことは実際に働いてみないとわからないからです。

自分がどんな仕事がしたいのか、どんな仕事に向いているのか、ということは実際になにかしらの仕事に関わってみないとわかりません。

新卒で就職活動をする大学生だと大体の場合は、すごくふわっとした「なんとなく」の要素しかないわけで。

むしろ「なんとなく」でも、自分自身のやりたいことがあれば、それを大事にする。

その要素が出てきた経験とか、なんでその要素があるのかという理由を、今までの自分自身の人生を振り返ってみて、掘り下げていくことだと思うんです。

志望動機をどう考えるか

学生がまず最初に自分自身の「やりたいこと」に向き合うのは、企業に提出するES(エントリー・シート)を書く時だと思います。

「あれ、自分って何がやりたいんだっけ」と。

ESを書くという以前にそもそも前提として、就活における志望動機というのは自分のやりたいこと、なりたい姿。という「自分軸」で語るということがあります。

自分の軸を、自分の言葉で語る。相手に伝える。というのが、志望動機です。

じゃあどうやって志望動機を書けばいいのか、ということですが、よくあるテンプレの志望動機というのは、あなたにとって嘘です。

言い切りました。

テンプレの志望動機は、あなたにとっての志望動機ではない。

例えば、

「御社のサービスに以前から憧れていて、御社を志望します」

「御社の地元密着型のビジネスに貢献し、地域発展に寄与したいです」

とか。嘘つけと言いたい。

あるいは、別のパターンとしては、

「将来の市場動向を考えた時、御社がいいと思いました」

というのもよくある理由ですが、それ自体が悪いというわけではなくて、そもそもの「自分軸」が欠けているという点において、志望動機にはならないということです。

まず、前提として自分自身の「やりたいこと」「なりたい姿」ありきで、その上で、その企業のビジョンと重なることを伝えるんです。(ビジョンマッチングという)

100%これがやりたい!とか、こうなりたい!とかがなくてもいいから、その要素はきちんと言語化まで落とし込む。

その上で、自分自身のビジョンと、そのためだったら目の前の仕事に全力で取り組みますということを、あなた自身の言葉で伝えるんです。

これがやりたい。こうなりたい。だから、御社なんです、と。

これが志望動機の考え方。

志望動機をESにどう書くか

その上で、じゃあ志望動機をES(エントリー・シート)にどう書くかということですが、まずESがどういうものか、基本的に何を書くのかということを踏まえる。

ここで言っているのは、「このように考えたらいい」という考え方です。

「こうした方がいい」という答えではなくて、考え方を書いています。

この記事にも書きましたが、そもそもESにパスするということは、面接への切符を手にすることです。

100%の自分自身を表現するというのは、物理的に不可能なわけで、その上でもっとも自分自身の「らしさ」が伝わるようにすることを考える。

ぶっちゃけ、この人に会ってみたいと思えるようなESを書くということです。

面接官が知りたいこと=あなたの伝えるべきこと

なんども書きますが、奇抜なことを書くとか、目立つこと前提で書くとか、そういうことではありません。

僕がES(や面接)で、「将来、作家になりたいから」という志望動機で通したという話を書くと、それがあたかもテンプレのようになりますが、そうではない。

別にそれはなんでもいいんです。面接官は、僕が作家になりたかろうが、パン屋になりたいと言おうが、そんなものはどっちでもいい。

もっというと、面接官はあなたが「将来こうしたい」というもの自体に対しては、どうでもいいと思っています。

大事なのは、そのビジョンが「どうして生まれたのか」ということ。その企業でなければならない理由なのかということ。(その企業であるべき理由、ということ)

そのビジョンの達成(あるいは、そこに向かう過程)において、あなたにとっても企業にとっても何がメリットなのか、ということです。

それを、例えば400字なら400字で、15分なら15分で伝えられるようにする。

特にESに書けることは限られているわけですから、伝えるべきことの要素を簡潔に言語化して、文章にしていく。

ちなみに。

伝えるべきことというのは、あなたの「伝えたいこと」ではありません。

「面接官が知りたいこと」が、あなたの伝えるべきことです。

という前提のもとで考えて書いてみて、その上でそれでも伝えたいことがあなたらしさだということだと、僕は考えています。

「やりたいこと」がわからないならば、自分の過去を徹底的に掘り返してみる

長くなってしまいましたが、もう少しだけ。

じゃあ、そもそも自分の「やりたいこと」がわからなくて、それは仕事をしてみないとわからないというならば、就活生はどうすればよいのか?

それを考えるのが就職活動です。
と言いたいけれど、それを言ってしまえば元も子もないので、僕なりに思うことを。

あなたがリアルにいま就活生なら、2つ。

1つは、自分の過去を徹底的に掘り返してみることで、もう1つは、とりあえず片っ端からエントリーしてみること。この2つだと僕は思っています。

まず1つ目。

これはもう、何度もなんども時間をかけて自分の22年を掘り返してみて、それを誰かにぶつけてみるという経験を重ねていくしかありません。

大学時代、どうして自分は飲食店のアルバイトをやったのだろう?

どうして塾講師を3年間も続けられたのだろう?
(あるいは、嫌になったのだろう)

というようなことを、22年分ちゃんと掘り下げることだと思っていて。

例えば、飲食店のアルバイトの経験を思い返してみたときに、「店長はいい人だったけど、お客さんと接するのはあんまり好きじゃなかったな」ということだけではなくて、もう一歩(ないし二歩)踏み込んだ理由を考える。

接客といってもいろいろあるわけで、本当はあなたは居酒屋の「お客さんを待つ型」の接客が好きではなかっただけかもしれない。つまりは、自分自身でお客さんを取りに行くために試行する接客ができないことがストレスだったかもしれないわけです。

塾講師を続けられたのは「人にものを教えることが好き」だからというよりは、誰かの今後のキャリアに関わることで、その人がより良い人生を送れるような手助けをすることが自分自身の喜びだったから、かもしれないわけです。

こうやって、一つ一つを丁寧に掘り下げていく。

それでも「やりたいこと」わからなければ片っ端からエントリーしてみる。

自分で自分を掘り下げても、決定打までは届かない場合。

むしろそっちのほうが多いと思いますが、じゃあどうするか。

これはもう、いろんな業種業界を、あるいはいろんな企業を、実際に自分の目で確かめるしかありません。

説明会に足を運ぶでもいいし、やりたいならOB訪問でもなんでもしたらいい。

いちばんは実際にエントリーしてみること。

面接を受けるリアルに勝るものはないし、あるいは実際にESの前でペンをとって「さあ、書こう」と思って、それでもどうしても書けなかった、というような経験。

そういう、ちゃんと自分の中にリアルな手応えを積み重ねて行くことでしか、説得力のある就活はできないと僕は思っています。

***

なんにせよ、就活には模範解答がない。

スタートラインも、ゴールもありません。

「こうしたら大丈夫」なんて答えはないし、それを考えるのが就活です。

自分が始めようと思ったところがスタート。終わりと決めたところで就活は終わります。

僕が書いているのは、考え方であり、スタンスであり、僕はこうしたという経験談です。

振り返って見たときに、ちゃんと目一杯ジタバタできたなと思えたら。あるいは何年か先に「あれで良かったんだ」と思えたら、それでいいんだと思うんです。

という僕から後輩への、そして自分自身へのメッセージです。

ここまで読んでくださって、ありがとう。