人生のストラテジーを考えてみる

2020年11月30日社会人生活, 働き方・キャリア

「ゆってぃさんの人生のストラテジーは何ですか?」

少し前に、とある人に紹介してもらった後輩と、その紹介してくれた人との3人で話をする機会に質問されたことです。
その後輩は僕の出身大学の後輩で、今は工学部の院生なのですが、直接の面識がない中で「面白い学生がいるから少し話してみよう」と誘われて紹介してもらいました。

学生の後輩から「人生のストラテジーは何ですか?」と聞かれることは初めての経験でしたし、いい言葉を使うなあと少し感動しました。笑

彼は来年から就職するということで、僕が就職をする前後で考えていた話をしたのですが、1つは「マーケット感覚を身につける」ということでした。

就活生当時の僕が考えていたことは、将来、本を出す(=知恵で稼ぐ)状態を作るためにもまず、世の中を俯瞰的に知ることに加えて、誰がみても一目瞭然の実績を作るということの2つを得られる場所を基準に、就職先の今の会社を選びました。

ようは自分が勝てそうな(=実績が作れそうな)大企業を選んだ、ということがシンプルな理由です。

マーケット感覚を身につけるということは、せっかくビジネスフィールドに立つわけですから、あらゆる業種業界に触れることができる点。
加えて、その経営の仕組みが知れること、仕組みを作る側に立てるようなキャリアを選ぼうと明確に考えて僕の社会人生活はスタートしました。

就職当時は24歳だったので、30代前半までの10年間で上に書いたところまでいくと。それが僕の20代の戦略として考えていたことです。

マーケット感覚には時間軸が必須

マーケット感覚を身につけると一言で言っても、要はどういうこと?と。

僕の場合でいうと、最初の関西配属のタイミングで、あらゆる業種業界の企業、しかも日本有数の大企業(上場企業)から地場の中小企業まで、自分で営業開拓をしてコンサル案件を担うという経験をすることができました。

業種業界を横断した実務経験を積むことで、経済市場を俯瞰的かつ構造的に知ることができると。
いまここで起こっている出来事の立ち位置を、全体と対比して知ることができるということがまさしく「マーケット感覚を身につける」ということでした。


マーケット感覚を身につけよう—「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

<内容>
月間200万PVの超人気“社会派”ブロガー・ちきりん 2年ぶりの完全書下ろし!  「論理思考」と対になるもう1つの力、「マーケット感覚」を解説する初めて本です。 いたる所で市場化が進み、不確実性が高まるこれからの社会では、 英語力や資格などの個別のスキルよりも、 「何を学ぶべきか?」「自分は何を売りにすべきか?」という 「本質的な価値」を見抜く、一段上のレベルの能力が必要になります。 その力を、本書では「マーケット感覚」と命名しています。 これは、別の言い方をすれば、 「社会の動きがこれからどうなるのか」 「今ヒットするのはどんなものか」 などがわかるアンテナやセンサーに当たるものであり、 「生きる力」「稼ぐ力」と呼ばれているものの核とも言える能力です。

プライシング能力を身につける、インセンティブシステムを理解する、市場に評価される方法を学ぶ、失敗と成功の関係を理解する、市場性の高い環境に身をおく。マーケット感覚を鍛え、「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法。

マーケット感覚を身につけよう—「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

上で書いたようなことは一つ、マーケット感覚だと思う一方で、より本質的な問題を問うのであれば、そこには「時間軸」が必要だということにも気づかされます。

ようは身に付けた市場(マーケット)の感覚がいくら立体的であったとしても、それはあくまでも3次元的なものなのです。
3次元的、立体的に物事を俯瞰して見れる力というのはそれだけで有用ですが、そこに”時間”というもう1つの次元を加えることができると、その市場感は最強の武器になります。

時間の概念を加えるというのは、2つの意味を持ちます。

まず1つは、「過去→現在→未来」の変遷を知るということ。
どういう経緯で物事が進んできたのか。これからどこへ向かっていくのか。
その時間変遷までをも踏まえた変化の経緯を押さえられると、そのマーケット感覚は4次元的に厚みを増します。

2つ目は、「今起きていること」が過去に他の領域で起こっていたか否かを知れるということ。
ITエンジニアの世界には「車輪の再発明」という言葉がありますが、いくら戸口の天才が「車輪」というものを独自に発明した!と思っていても、すでにどこかで発明されていたのであれば、2回目の発明(だから再発明と言われる)が持つ意味や価値はほぼ無くなってしまいます。

科学の領域にも似たような表現で「巨人の肩に立つ」という言葉がありますが、これも同じような意味で、要は科学というのは全人類の積み重ねと進歩の結果、今があるのだと。
過去の先人たちが積み上げてきたもの(=巨人)の肩の上に立って物事を見るという意味の言葉です。

教養という名の武器を手に入れる

時間軸を加えたマーケット感覚を身につけるためには、やっぱり教養が一番効いてくる。

一見関係のない領域の知識の幅や深さを得ているからこそ、今目の前で起こっていることを正しく捉えることができる。

1つの専門性というのは大きな力になりますが、俯瞰的に見た時にその1つの専門性の価値がどのくらいあるのかは、他の領域との相対比較でしかありません。

専門性がコモディティ化するという記事を以前に書きましたが、医者も弁護士も、優秀さが飽和している領域なわけです。

需要と供給という市場原理から考えた時には、1つの専門性を突き詰めていくことはある意味リスクな時代に突入しているのです。

この意味をどこまで理解することができるでしょうか。

結局のところ強いのは、「どんな専門性を持っているか」ではなく「どんな専門性に価値があるのか」を見極められる目利き力です。
そのためにも教養という名の根を深く張り巡らせ、一朝一夕には身につかない知性を磨いてあるのです。

この文章を読んでくれる方々には、その意味が伝わって欲しいなと思っています。いつも、ありがとう。