社員にとって「会社の未来」や「事業の成長」なんて二の次

社会人3年目(大阪), ビジネスパーソン向け, 経営者向け

2日間投稿が空いてしまいました・・ 見に来てくれていた方、ありがとう。

前回の投稿で、『企業における「人事制度」の目的って何?』という記事を書きました。

ちょうど昨日(2/10)にその議論をある企業の経営者の方としたので、その話について続きを書きます。

従業員が最も関心があるものは何か?

企業に勤める従業員の方々は「人事」と「給与」で動く。

これは紛れもない事実で、例えば「会社の未来のために」「事業の成長のために」ということを一番に考えている人というのは、ほとんどいません。

誤解して欲しくないので書きますが、会社の未来や事業の成長について、誰も考えていないというわけではありません。もちろん考えている人もいます。

ですが、その優先順位は一番ではないよ、ということ。

まず何よりも「人事」と「給与」があって、3番目以降でようやく「会社の未来」だとか「事業の成長」だとかがある。経営者ならば、従業員の頭の中にある優先順位を間違えてはいけない。

人事というのは、ようは「自分がどう評価されているのか」ということです。

自分と他の誰かを比較した時、どうなのか。同期と比べてどうなのか。認められているのか。上司にどのように見られているのか。

そしてそれを踏まえて、いくら貰えるのか。去年と比べていくら増えたのか。今年のボーナスはいくらなのか。今やっている自分のスキルは、他の企業にいくと高く買ってもらえるのか。などなど。

 

え?衝撃ですか?

そんなわけないでしょう。何を言っているんだと言いたい。

あなたの立場で置き換えて考えてみてください。あなただって、そうでしょう?

もし、あなたが経営者ならば、そのあなたが社員であることをイメージしてください。イメージできないのであれば、社員の気持ちなんてわかりませんから。

会社の未来や事業の成長を、経営者と同じくらいの当事者意識を持って考えられる人なんて、いませんから。それを社員に求める方が間違っていると言いたい。

 

昨日、経営者に上のことを少しオブラートに包んで伝えました。

最初は驚きを隠せなかったようですが、「そうですよね」と言ってくれたことで、僕は救われるのです。

本質なんだけども、本質とはつまりタブーであることが多い。

タブーに切り込んで、分かってもらえる人が経営を担う会社であれば、未来は希望しかないと思うのです。

人事制度の3つの構成要素

「人事制度」と調べると、人事制度を作る3つの要素について模範解答的に書かれています。

もちろんその3つとは「等級制度」「評価制度」「報酬制度」のことです。

 

「人事制度」の画像検索結果
「人事制度」:BizHintより抜粋

 

さて、これは模範解答なんだけれども、要はなんですか?ということ。

「等級制度をきちんと作ろう!」「評価制度が大切だ!」「それを報酬に反映させよう!」というのは、十分条件ではなく最低限どの当たり前。

じゃあ、等級制度とはなんですか?一言で言うと?
ということです。一言で言えないと言うことは、分かっていないと言うこと。本質を突こうと日々、思考を巡らせている人でないと、なかなか一言で言うのは難しいですよね。

僕なりの解釈を書きます。

等級制度とは、つまり、会社としての理想像のこと。
評価制度とは、つまり、社員に「何を頑張って欲しいか」というメッセージ。
報酬制度とは、つまり、社員が給与を得るためになすべきことで、経営者の本音のこと。

一つずつ書きますね。

まず、「等級制度」について。

あなたの会社にも例えば「レベル1〜レベル5」までの等級が設定されていたりするはずです。(言い方、表現の仕方はそれぞれある)

レベル2が課長、レベル3が部長、レベル4が役員、みたいにレベルに応じて役職がついている場合もある。そうでない場合もある。

等級制度で一番大事なのは、5段階なら5段階、7段階なら7段階で良いのですが、ようは「一番上まで上がったら、どんな状態になっていれば良いのか?」を決めることです。

一番上は社長です、と言っているのではないですよ、念のため。

会社としての理想像というのは、そういう理由です。会社として求める社員の最大の理想像を決めなければ、それを5段階や7段階に分けられるはずもなく。

人事制度で最も大切かつ難しいのは、理想像を決めることで、その言語化さえできれば、あとはブレイクダウンしていけば良いのです。

 

次は「評価制度」について。

これは社員側から見ると、「何を・どのように取り組めば良いのか」を表しています。何を・どのように頑張ったら、評価されるのか。

経営側からすると、社員に対して「何を・どのように頑張って欲しいのか」を表したメッセージになります。評価制度を決めれば、社員はその評価精度が求める通りに頑張ってくれます。

当たり前です。自分自身の評価が、そこで決まるのですから。

なので経営者は、会社としての方向性を考え、その言語化をする必要があります。
それさえ決まれば、あとはそれを評価の仕組みに落とし込んでいくだけです。

 

次は「報酬制度」について。

社員側からすると、上の評価制度に連動するのですが、要は「何を・どう頑張ったら、それが給与に反映されるのか」ということを表しています。

経営側からすると、経営のホンネが露呈される、ということです。

重要なポイントの1つとして「賞与」があります。

多くの企業ができていないことなのですが、「賞与」は毎年あって当たり前ではないし、毎年増えて当たり前ではないのだ、と社員にきちんと伝えましょう。

「ボーナス」という言葉が誤解を生んでいるようですが、ボーナス(賞与)は「あなたはいつも頑張っているから、はい、お小遣い」と渡すものではありません。

賞与・ボーナスは、会社の業績がよかったときに出た利益を、社員に還元するという仕組みであり、お小遣いではないし、毎年増えていくものではないというのは周知を徹底しておくべきです。

会社の業績がよければ、社員に多く還元できるのですから、それを正しく入社時に伝えることができれば、皆で頑張ることができるようになるのです。

 

給与は、高い方がもちろん良いのだと思いますが、一概に高ければ良くて低いからダメ、というものでもありません。

大切なことは、社員の方々に対して「給与を得るために、何をすれば良いのか」ということを正しく伝えられているか、正しく伝わっているかどうか、です。

 

長くなってしまいました。

最近思ったのですが、こうしてブログに書く内容は、実際に僕自身がコンサルティングの現場で体感したことや経営者に伝えていることを凝縮することで、結構リアルな話が書けるんだということ。

生々しくて、面白いでしょ?(と思ってくれる人がいたら嬉しいなあ・・)

いつも読んでくださって、ありがとう。