人事は人の生命(いのち)を左右する仕事

転職, ビジネスパーソン向け

ずずずさんのブログで唸らされる記事を拝見したので引用。

(真面目な仕事の話も、こういうファニーな記事も好きです。)

人材業界に身を置く立場として、ものすごく刺さる記事なのです。

ありがたいことに(?)僕自身は人材事業とは全く別の仕事をしていますが、業界の構造上の問題に対しての問題意識はいつも罪悪感を感じさせられます。

 

ちょうどつい先日、海外人材紹介の事業を新しくはじめたという社長さんと話をしていましたが、実は本当の意味で「人材業」をやっているのは大手企業ではありません。

人材業界の中でも大手企業、ブランド媒体を抱えている企業というのは、必ずと言っていいほど「法人側の営業」と「個人側の担当」と分かれており、ぶっちゃけいうと人材業が人の感情を扱う仕事であるということ、人の経済を決める、場合によっては人生を左右する仕事であるという感覚は持っていません。

就職にせよ転職にせよ、あるいは人事異動にせよ、構造上の問題として「評価する側」と「評価される側」という構図が存在し、そしてその意識が存在する時点でどうしても人の生命(いのち)を左右しかねないというのは事実としてあると感じています。

自社の選考を受けてくれた何百人、何千人という学生たちの大半は仲間にならないわけですから、彼らは将来のお客様であるはずなのです。転職であろうと、辞めていった仲間たちにせよ、同じこと。

人の何某を評価する立場の人たちは、圧倒的な愛と知性を持っていなければならないというのは、変わらず僕が思っていることです。
そして構造上はその真逆にならざるを得ないという事実もまた、身を以て知っています。

人材業なんてなくなってしまえ

まあ極論ですけれども、半分は本心で思っています。人材エージェントなんていうのは、就職や転職のプロではありません。たまたま先行優位の領域でブランド媒体を有しているだけのことが大半なのですから。

人材業というのは事業としての参入障壁がとても低いビジネスです。
やったことがある人はわかると思いますが、結局最後は「どれだけの案件があり」「何人のデーターベースがあるか」という数の理論になり、確率的な議論になるので、人材事業を行う企業が本質的なキャリア支援を行うのは、かけた労力とコストという面においても(ひいては能力的な面でも)かなり難しいのです。

もちろん、業界の中にはプロ中のプロであるエージェントは存在します。
そしてそれは間違いなく企業ではなく、個人名で勝負をしている人たちになります。

仮に人材業界の企業に属していても、必ず名指しになります。
そういうプロのエージェントというのは、1%もいませんから、人材業界の人たちや企業人事というのは100人中99人は必要ないのです。

僕自身、学生時代から今に至るまで、就活事業に関わらせてもらいました。
本当にありがたい経験をしたと思っていますが、少なくとも僕には人の感情を背負い、人生を背負い、それに触れる仕事をし続けるだけの胆力はありませんでした。

人材業を営む会社や業界、エージェントの最大のミッションは間違いなく、就職や転職を成功させることですが、一方で転職を繰り返す人たちがいないと飯が食えないという構造上の矛盾を抱えているのです。

家電を設計するときに、何年後かに壊れるようにわざと疲労耐久性を調整して設計するのと同じことです。

いつかこの矛盾に業界全体が気づかないと、未来はありません。

 

僕は自分が関わったクライアント、就活生、ビジネスパーソン、そういった人たちがベストだと思える仕事をしたいし、そのためには誰しもと関わってだとか、無尽蔵に名刺交換をしてだとか、そういうことをしているわけにはいかないのです。

そんな暇があるならば、限られた人たちにたっぷりと時間と愛情を費やしてありたいし、こうしてブログを読んでくれる人たちのことを考えながら文章を書いていたいのです。