帰ってこれる場所がありますか?

働き方・キャリア

大学卒業時に大事なことは、帰ってこれる場所があるか否かです。

地方から夢や憧れを抱いて上京して、都会に行って仕事をする人はたくさんいます。
東京は江戸っ子よりも地方出身者の方が多い街です。だからこその都会性なのです。

20代というのは、そうやって夢や憧れを抱いて全国区に来た人たちが、現実を突きつけられて夢破れる時期であり、都会というのはそういう街なのです。

甲子園じゃないですけれども、地元の地方大会や県大会で活躍をして「俺はすごい」と思っていた人が、全国大会に出場をして初めて世界の広さを知るということと同じです。

僕自身、田舎出身ですから、その気持ちは痛いくらいによくわかります。

僕は小学生の時、自分のことを天才だと思っていました。
でも、中学・高校と進学校に行って自分より頭の良い人たちの世界に触れて、なんて自分は子供だったのだろうと知りました。

それでもなお、人生においては特別感を持っていて、それでいて地元の国立大学に進学をし、一気に社会とつながる時期がありました。
その時に悟ったことは、僕自身はエリートコースで勝負するのは無理だからやめよう、ということでした。

だったら、愛されコースの上限一杯で生きようと決め、今の場所を選び、それなりに世界の広さとビジネスのリアル感を手触りを持ってわかるくらいの場所には立つことができているのだと思っています。

広さと深さがわかるようになってくると、全国大会でもっとすごい奴に出会って挫折をするという感覚は、痛いくらいにわかるようになります。
なぜなら自分自身がそうだし、そして自分の周りでそうやって埋もれていった人たちをたくさん目の当たりにしているからです。

いつでも帰ってこれる場所があるというのは、すごく大事なことです。

実家に帰るだとか、地元に帰るだとか、必ずしもそういうことではありません。
精神的に、自分の源泉となる拠り所のようなものがあるか否かで、社会に出てからの安定感は違います。

大切な人でもいいし、話せる大人でもいいし、よくあるのが就職する時に相談をしていた大人と就職を機に疎遠になってしまい、社会に出てからのイロイロを話せる人がいなくなってしまうということです。

本当は就職までではなく、そこから先の社会こそ、そういう存在が必要なのです。
そしてもし、あなたにとってそういう人や場所があるのであれば、それはとても幸せなことだということです。

はじめての就職や一人暮らしでは、ただ生きるということ自体がすごく難しく、ただそれだけで素晴らしいことです。忘れそうになるけれど、そうなのです。

仕事をし、求められることがあり、社会のルールが変わっていく中で自分自身が何をどう頑張れば良いのか。
そんなことを打ち明けられる人や場所があれば、日々の生活はものすごく軽やかになります。

幸せなことに、僕はそういう場所がありました。そういう人がいました。
だからこそ、今こうして立っていられるのだと思っています。

僕が学生時代から関わってきた人の多くはいま、社会に足を踏み入れています。
アドバイスはできないけれど、イロイロな話はすることができて、そうして僕との関係を求めてくれる人がいるというのは、すごく嬉しいことだと最近になって気づきました。

少しでもそういうリアルを言葉にできればいいなと思って僕は今、こうして文章を綴っています。