野心のすすめ

書評(という名の感想文)

林真理子さんが「何者でもなかった頃」から現在にいたるまでのストーリーが描かれている「野心のすすめ」。

若い頃、林さんご自身は「持たざる者」だったというが、前輪の「野心」と後輪の「努力」。
世間からのバッシングもありつつも、その両輪を回しながら、成功の階段を一つずつ登っていく、林さんご自身の生き様が凝縮されている。

僕が感動して線を引いた箇所は以下。

咲き誇る花々に見とれながら私は確信したんです。
ーーこの花の美しさを、きっと一生覚えているに違いない。なぜなら、『ルンルン』が世に出たら、私の運命は大きく変わるのだ。数年後にはすっかり有名になっている自分は、「まだ無名だったあの日、神田で美しい木槿(むくげ)の花を見た」ことを懐く悪しく思い出すことだろう。

本の冒頭の「はじめに」に出てくるこの言葉が、林麻里子さんの「野心」の原点なのだと思う。

誰にでも無名時代はあって、そして多くの人は無名のままで人生を終えていく。
でも、その無名時代にどれだけ「あの頃は〜」と、どこか懐かしいような感情を覚えながら、いわばそれは根拠のない自信で、その根拠のない自信をどれだけ抱えながら若い時を過ごすことができるかが、その後世に出てくる人と、圧倒的大多数のそうじゃない人の差になるのだと思う。

いま世に出ている人たちも皆、一様にして若い頃に上のような「世に出たら、無名時代のこのエピソードに華を添えるのだ」という強い意志を持っているし、その言葉たちが次の世代に勇気のバトンをつなぐのだと思う。

僕の好きな中谷彰宏さんが「注文のない時代から、いつかブレイクした時のために、原稿を書き溜めておこう」というようなことを書いていて、僕は10代の時にそれを読んで、今がある。

人生が上に広がっていく

人生には、ここが頑張り時だという時があります。

「自分は特別な人間だという自信と、自分は普通の人間だという謙虚さ。この二つを同時に持っていたい」

テレビの収録で上がった熱を覚まして、書くための集中力を内側に向けていくには、どうしても二〜三時間はかかるわけです。

僕がこの本で線を引いた言葉たち。
その前後の文脈もあるけれど、その言葉一つ一つにエネルギーがある。

いつか世に出た時のために、今見えている景色と考えていることを書き溜めおこう。

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