【コンサル業界の就活②】申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。

2019年10月27日就活生向け, 経営者向け

『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』
という本を知っていますでしょうか。

衝撃的なタイトルで世界中を斡旋した、コンサルティング業界の今を風刺した本になっています。
これは僕が入社当初、僕の会社の非常に優秀なコンサルタントの先輩が教えてくれた本です。

 


申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。 ~コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする~ 

マッキンゼー、デロイト…超一流コンサルが持ち込んだ理論もチャートも改革も、じつは何の意味もなかった!? コンサル業界の驚くべき仕事の実態を、表から裏まで徹底的に暴露した全米騒然のベストセラー問題作。 効果をちっとも感じない「経営改革」に呆れている人、そしてなんとなくコンサルティング業界に憧れている人、必読! 

申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。 ~コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする~ (だいわ文庫 G)

 

 

「個人の最大化」という、コンサル業界の未来を明示したその先輩から伝えてもらったことと、
「どこに行っても通用するから、コンサル業界に行きたい!」というような甘っちょろい考えを持っている就活生にはぴったりの内容かなと思ったので、僕の実体験を持って書きます。

Introduction 大手ファームは無意味なことばかりさせている
第1章 「戦略計画」は何の役にも立たない
第2章 「最適化プロセス」は机上の空論
第3章 「数値目標」が組織を振り回す
第4章 「業績管理システム」で士気はガタ落ち
第5章 「マネジメントモデル」なんていらない
第6章 「人材開発プログラム」には絶対に参加するな
第7章 「リーダーシップ開発」で食べている人たち
第8章 「ベストプラクティス」は“奇跡”のダイエット食品

『申し訳ない 御社をつぶしたのは私です。』

この本を要約すると以下の3点になります。

1)モデルや理論は絶対に理屈どおりにはいかない
2)数値の管理によって職場から人間性を奪ってはいけない
3)考えること放棄し、コンサルタントに判断を委ねてはいけない

これら3つを導くコンサル側の原因として以下を指摘しています。

「モデルや理論というのは論理的で明快なものだ。だからこそ分析や理論構築を得意とする新卒エリートは、それを絶対的なものだと信じ、手順どおりに実行しようとする。しかし実際はさんざんの結果になることもしばしば。彼らに欠けていたのが、実社会での経験だ。」

ここが、これから先、コンサル業界の中で差別化になるポイントなのです。

『コンサル一〇〇年史』という本を読むと良く理解できるのですが、そもそもコンサルタントという仕事は約100年前、スバ抜けて高い成果を収めた個人が、「経営相談、はじめました。」的にスタートしました。

彼らは経営経験を積んだという意味から、年齢層も高く、その白髪交じりの頭から「グレイヘア・コンサルタント」と呼ばれたのです。

この辺りのことは、以前の記事に書きました。

 

一方で、彼らの取組みは文字通り「経験」に基づくものが多く、その成功体験は再現性に欠けている面がありました。また、コンサルタントが求められるようになった結果、コンサル組織そのものを拡大する必要がありましたが、経営経験豊富なコンサルタントをすぐに集めてくることは現実的ではありません。

そこで、MBAをはじめとする、経営理論、ケーススタディを学ぶ若手を増やしました。
当然彼らは頭キレキレの超エリートです。『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』では、この点を述べている訳です。抜群に切れる刀を、経験のない若手が振りかざしているのは危険であるとの警鐘ですね。

なぜこの話題を検証したかというと、「今めちゃめちゃ関西でコンサルファームが人員を拡大している」からです。

関西がブルーオーシャンであることに、(今更ながら)気づいたのですね。

アクセンチュア、IBM、PWCなどのBIG4と言われるファームが軒並み人員規模を3倍にしています。
また、top of consulting firm マッキンゼーも日本上陸26年目にして大阪にオフィスを開設しました。

そんな中、何が起こっているか?

indeedなどでコンサル募集を見てもらえればわかるのですが、BIG4でも「コンサル未経験可/ポテンシャル採用」が増えているのです。

つまり、採用される方々は当然、抜群のエリートであることに間違いはないのですが、『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』で筆者が指摘している状況に陥る可能性が極めて高いということです。

ファームが人員拡大をしている中で、あなたは価値を生み出していく覚悟があるか?

上のようなことは、コンサル業界を受けたい方は当たり前のように知っておくべき内容です。
僕がいま関西を中心としたマーケットでビジネスをしているから、余計にファームの「関西拡充」の動きと、それに伴うコンサル業界の変遷を感じています。

本にも書いていますが、単に頭がいい、優秀であるからコンサル業界を目指すという時代は終わりました。

確かに、高学歴エリートがこぞってコンサル会社を目指すという一時代もありました。が、今は完全に時代が変わっているのです。

いまの企業の経営陣というのは、一昔前と比べて、何倍も情報を持っていますし、MBAホルダーなんて当たり前。
経営を科学するという観点で言うと、コンサル会社以上に優れいている人や組織も溢れてきました。

そういう業界変化の中でも、新たな価値を定義し、生み出していかなければならないプロ集団。

あなたは、その覚悟がありますか?と言う話です。

コンサルは能力がまず大事
と前の記事に書きましたが、それでもやっぱり、最後はパッションです。人間性なのです。

あなたは、どういう人で、何を成し遂げたいと思っているのか?

結局最後に問われるのは、その人間性としての資質です。
何故ならば、クライアントも人間であり、市場もまた、人間が作り出したものだからです。

ひたすらに自問自答を繰り返してください。
自分に問うた「Why?」の数だけ、あなたと言う人間は深くなり、その深さが人としての成長を促してくれるのです。