涙は涸れても、愛は枯れない。
映画『ノルウェイの森』について感想記事を書いたことがある。
僕の大好きな村上春樹さんの名前を一気に世界中に知らしめた作品が、こちらノルウェイの森。ご存知の方も、作品を読んだことがある方も多いと思う。
ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。上下巻セット!!→ ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)
2018年の年末、とあるお兄ちゃん的人(先輩であり友人である人)と完全プライベートの忘年会に行きました。
その時に、ご一緒した方(3人で飲んだ)とこの映画『ノルウェイの森』について盛り上がりまくり、あまりにも楽しかった記憶があるので書きます。
余談ですが、12月28日最終金曜日に、会社の忘年会(一次会)を終えて行きました。
僕は会社の飲み会は基本的には参加しない。参加したとしても一次会で帰ると決めているのですが、その理由は「大勢で飲み会をすると、語れない・話せない・考えれない」という三拍子揃ってとても気持ちがげんなりするからです。
あと、個人的には「ジョッキを飲みまくる」とか「タバコの煙がプンプン」というのも好きじゃないです。完全に個人的主観ですけれど、あんまり上品じゃないのは好きじゃない。(ジョッキ飲みやタバコがダメだと言っているわけじゃないです、念のため)
忘年会くらいは・・と一瞬思わなかったわけでもないのですが、例に漏れず「イェーイ!」みたいな忘年会だったので、終わり次第「さらっと」消えました。飲み会から消える術は天下一品だと自負しています。
さて、個人的忘年会はそのあとの3人での密会だったのですが、教養のトークの嵐で楽しくて楽しくてしょうがなかった。笑
いろんな話をしました。
ご一緒した方もそうなのですが、10代、20代までの教養という名の積み重ねと引き出しが半端なくて、どういう話になっても必ず引き出しが開いて、唸らされるトークが出てくる。
その人は「歴史」とか「文学」が昔から好きだったとのことですが、歴史トークは僕があんまり詳しくないからということで(恐らくは)文学の話をたくさんしてくれた。
推理小説とかハードボイルド系の物語をたくさん読んでいたそうで、特に印象的だったのはスティーヴン・キングが好きだと。
有名な『スタンド・バイ・ミー』という映画がありますが(僕も観たことがあります、素敵な青春ものという印象)、実はホラーの方が本家だということを初めて知りました!
そしてその『スタンド・バイ・ミー』の中にも、ホラー的要素が描かれているということ。
氏の本領は、実は単に「ホラーを描く」ではなく、ホラーを描くことを通して「人間の深層心理の追求」が彼のすごいところである、ということらしい。
彼のもう一つの代表作である『ショーシャンクの空に』という有名な映画は僕も大好きで、何度も何度も観ました。
ショーシャンクの空に (字幕版:Amazonプライム・ビデオ)
スティーブン・キング原作、名匠フランク・ダラボンの劇場監督デビュー作にして、多くの人々の「マイ・ベスト・ムービー」のひとつに加えられた、新世代の傑作!
とある刑務所の受刑者が勝ち取り、分け与えた解放と救い-。誰の心にも静かに、爽やかな感動が訪れる…。
ショーシャンク刑務所に、若き銀行の副頭取だったアンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)が、妻と間男を殺害した罪で入所してきた。
最初は刑務所の「しきたり」にも逆らい孤立していたアンディだったが、刑務所内の古株で“調達係”のレッド(モーガン・フリーマン)は彼に他の受刑者達とは違う何かを感じていた。
そんなアンディが入所した2年後のあるとき、アンディは監視役のハドレー主任(クランシー・ブラウン)が抱えていた遺産相続問題を解決する事の報酬として、受刑者仲間たちへのビールを獲得する。
この一件を機に、アンディは刑務所職員からも受刑者仲間からも、一目置かれる存在になっていく・・・。
→
ショーシャンクの空に(字幕版)
Amazonプライム・ビデオばかりでごめんね。笑
他意はないです、個人的にはDVDを持っていて何度も観ました。
この映画のすごいところは、よくある脱走物の映画ではなく、刑務所内に入れられた人たちの心情の機微がよく描かれているところ。
脱走映画のパイオニア的存在であり、今尚この映画を超える作品は出てきていないのではないかと個人的には思っています。
人々が脱走物の映画が好きな理由は、「閉ざされた場所から脱出したい」という人の心の中にある潜在的な願望を浮き彫りにするからで、この作品は人々のそうした心の中を映し出している。
だからこそ、主人公のティム・ロビンスが脱獄をして最後にガッツポーズを撮る瞬間がこれ以上なく最高で、人々に何度もこの作品を観させるのだと思うのです。
涙は涸れても、愛は枯れない。
涙は涸れても、愛は枯れない。
これは、『ノルウェイの森』が映画化されたときに、映画版のキャッチコピーとして書かれた言葉です。
実は、その飲みでご一緒した方がこのコピーを書いた人で、
ひょんなことから文学の話をし、そして村上春樹氏の作品で話が大盛り上がりした後に、ボソッと言われたのです。
衝撃。鳥肌が立って、酔いが一気に吹き飛びました。
涙は涸れても、愛は枯れない。
村上春樹氏が描く世界観を、これ以上でもそれ以下でもなく、一言で体現した言葉だと思うのです。
ノルウェイの森の冒頭のシーン。
37歳の僕は、ハンブルク空港に到着した飛行機のBGMでビートルズの「ノルウェーの森」を聴き、激しい混乱を覚えた。そして学生時代のことを回想した。
主人公がハンブルク空港で回想し、涙を流すシーンがあります。
深い愛情と哀しみの体験を思い出し、もう涙は出ないと思えるほどに泣き尽くしたと思っていたのに、まだ涙が溢れる。
愛は、枯れない。
その世界観を表しているのだと。
素晴らしいと思った。僕がどうこう言えるものではないのですが、それ以上ぴったりな言葉はないのだと思う。
僕が10代の頃に焦がれて憧れた世界観がそこにありました。
『ノルウェイの森』は僕の最初の大学時代なのです。
ノルウェイの森 (Amazonプライム・ビデオ)
高校時代に親友・キズキを自殺で喪ったワタナベは、新生活を始めるために東京の大学に進学。そこで、偶然キズキの恋人だった直子と再開する。お互いに大切なものを喪った者として付き合いを深めていった二人は直子の二十歳の誕生日に一夜を共にする。しかし、ワタナベの想いが深まるほどに直子の喪失感は大きくなっていく。そんな折、ワタナベは大学で小動物のように瑞々しい女の子と・緑と出会う。→ ノルウェイの森