組織づくりは「系をなす」と捉える。塚田農場で過ごす忘年会的な

2018年12月30日社会人2年目(大阪), マネジメント・育成, 経営者向け

土曜日の夜、ちょうど1年の付き合いになるお客さんと忘年会的な飲み会をしてきた。経営者と僕とで1対1の忘年会。

去年の10月からコンサル契約を1年間してもらい、今年の9月で満了になったのだけれど、そこから先も定期的に情報交換は続いている感じ。

余談ですが、梅田にある「塚田農場」というお店に行きました。

梅田だけでも数店舗あるのですが、僕がよく行っているのが『鹿児島県霧島市 塚田農場 梅田ギャザ阪急店』というお店。

全国に展開する塚田農場ですが、「生産者とお客さまを繋ぐ居酒屋」というコンセプトのもと、「作った人=生産者」の方々の顔が見えるようにし、また、生産者に対しても「一般のお客さん=消費者」の顔が見えるようにした、という点で業界を革新した会社です。

というのも、従来の飲食店は、例えば野菜や魚やお肉を「作った人=生産者」と、実際にお店で並ぶまでに卸屋がいくつも間に入っているゆえに、全く接点がなく非常に距離が遠いというのが常な訳です。誰もその常識を疑うことをしなかった。

けれども、ちゃんと顔が見えるようにして、自分たちがつくった作物を、どういう人が食べているのか?
自分がいま食べている食材は、どういう人たちが作ったものなのか?
をできる限り透明にしようという想いで取り組んでいる居酒屋な訳です。

そしてその塚田農場を展開するのが、「APカンパニー」という会社。

経営スタイルも一風変わっていて、例えば企業の「採用サイト」なんかを見ると、非常に良くできている。
そして面白いのが、正々堂々と「裏口採用」と称して、例えば「体育会系はこちら!」とか「魚が好きな人はこちら!」とか、本当に自分自身が情熱をかけることができる人たちを採用(しかも新卒で)しようと思っている会社なのです。

「飲食店を経営する会社は、新卒の採用が難しい」
という業界の常に疑問符を投げかけ、「であるならば、自分たちで新卒採用のブランドを作り上げる!」ということで、数々の新しい取り組みを手がけています。

大学生のアルバイトスタッフさんに向けた就活塾「ツカラボ」を展開するというのもその一つ。

一時期、「スタバでアルバイトをしていた学生は就活に有利」と謳われた時代がありましたが、彼らは本気で「塚田農場でアルバイトをしていた学生は優秀である」というブランドを作り上げようとしています。

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自ら物事を作り上げている人というのは、とてもよく勉強をしている。

組織づくりを自らの手で行い、人のモチベーションと人生を考え、「マネジメント」=「組織として最大限のパフォーマンスを出すこと」と捉えている。

彼は今ある事業以外においても色々足を踏み入れていて、その中の一つに第一次産業がある。

農業、林業、水産業といった産業の興しを手がけていて、自然科学の観点から事業や人づくりを行なっているのである。

「ゆってぃさん、あの領域は儲からないけれど、楽しいよ」
と満面の笑みで言われた。笑

「いつかどこかで、経験しておくといいと思うんだよね」
というアドバイスももらった。僕がいつかその領域に足を踏み入れる時が来るのかはさておき、言っていることはすごくよくわかる。

学問的バックボーンから見る組織づくり

僕はもともと物理学というバックボーンがあるので、社会も物事も自然科学的に捉えるという思考回路にどうしてもなっていく。

机上の空論のように思えるかもしれないけれど、リアル社会を生きる上で、案外これは役に立つ。

上に書いた彼は第一次産業に紐づくことをやりたいが根元にあって、自然科学にめちゃくちゃ詳しい。特に生物学は非常によく勉強をしている。

「もともと理系じゃないから」と言いつつも、文系的に物理や化学も勉強しているし、それ以外の哲学や宗教や歴史などもよく勉強している。本当に頭が上がらない。

生物学の成り立ちを少しでも触ったことがある人がいればわかると思うけれど、自然界というのは「系をなす」という考え方がある。

土壌があり、養分があり、生物がいて、環境があって、外的要因がある。
そうやって様々な要素が相まって、ひとつの系をなしているのである。

彼は組織づくり、社会も同じように「一つの系」として捉えており、どういう土壌づくりをし、人を配置し、時には雨を降らせれば良いのか?という視点で物事を見ているという。

なるほどなと思わされたと同時に、非常に変わっているなあと。笑

こういった学問的バックボーンから組織づくりを見て、しかもそれが実体験のリアルに基づいているというような経営者は強い。そしてその経営者が作り出す組織は非常に強い。

そう思わされた時間でした。時々、やりたいですね。

 

<追伸>

「いやあ、ゆってぃさんと飲みながら話をすると、無性に本が読みたくなってね。
そのあと、本屋に寄って5冊も本を買って帰ってしまいました。笑」

と解散後、メールが届きました。彼も考えていることは同じだったようです。

 

<追伸の追伸>

大学時代に読んだ「第三のチンパンジー」という本はよかった。

 


若い読者のための第三のチンパンジー (草思社文庫) 文庫本

ジャレド・ダイアモンド博士が一般向けに書いた最初の著作『人間はどこまでチンパンジーか?』(王立協会科学図書賞受賞作、新曜社)を、より多くの読者に読んでもらうべくダイジェスト。なぜ「人間」はほかの動物とここまで異なるのか? そもそも「人間」とは何か? という大テーマをさまざまな角度から考察。博士の思想のエッセンスがコンパクトに凝縮された一冊が文庫で登場! → 若い読者のための第三のチンパンジー (草思社文庫)