日々に消耗する人々へ、ホリエモンが語る『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』

2019年1月3日書評(という名の感想文)

以前に、ホリエモンこと堀江貴文さんが自身の生い立ちについて書いて話題になった『ゼロ』の感想を書きました。 

yuto.hatenadiary.jp

その堀江さんが、彼自身が思う「自分の仕事」について書いた、いわゆる『仕事本』がこの『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』という本です。 


あえて、レールから外れる。逆転の仕事論

就職した会社で、与えられた仕事をコツコツこなし、幸せな定年を迎える。 そんなレールに乗った、かつての成功モデルは既に崩壊している。 では、いま最も有効な働き方とは何か? 起業・転職を視野に入れるビジネスマン必読の書。

あえて、レールから外れる。逆転の仕事論

この本の前書きには、

「あなたはいま、自分の仕事をしていますか?」 

という言葉が書かれており、そこから8人の著名人の働き方をモデルにしながら、堀江さん自身が思う「自分の仕事」についてが書かれています。

今までの日本における働き方の多くというのは、決まったレールに沿った、いわゆる「引き受ける」ものでした。

レールの上を歩き「引き受ける」仕事をする人が大半で、そしてそれでも社会はうまく回っていたんだと。

けれど、インターネットがこれだけ普及した今、全てが変わった。と彼は言っています。

全てというのは、働き方はもちろんのこと、道徳や常識、安定志向といった考え方、そして仕事のあり方。

旧来の「引き受ける」仕事は激減し、自ら「作る」仕事をする方へと時代はどんどんとシフトしているのだと。

だからこそ、決められたレールからあえて外れることを選択し、<仕事を作る人>になった方々を取り上げ、その働き方について彼の目線から書かれています。

堀江貴文さんの『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』読了。

「仕事は、ただシンプルに、やりたいことをやるためにあるものだ」
「何をやるか、なんのためにやるか全部自分で決める」
と。面白かったです。 pic.twitter.com/yRUmuVxFRx

— Yuttie (@zoktotuya) January 4, 2017

僕は、

仕事は、ただシンプルに、やりたいことをやるためにあるものだ。

何をやるか、なんのためにやるか全部自分で決める。 

という彼の言葉にすごく共感したのですが、その言葉は次のように続きます。

空気を読まず、常識に囚われず、想いのままに仕事をする。たとえ失敗しても、何度でも挑戦する。

イノベーターのスタイルは、ジャンルを超えて幅広く耐用する。かつての「成功モデル」を覆す逆転の仕事論と言える。

(中略)

イノベーターは、楽しい瞬間がまるごと仕事になっているのだ。 

とあります。

純粋に、ああいいなあって。

友だちと笑いながら飲んでいる時に大きな案件が決まることも、女の子といい感じになっている途中でビジネスのアイディアが浮かぶこともある。仕事とプライベートの区切りをつけていない。遊びと仕事が、一体になっている感覚だ。仕事か遊びかと聞かれたとしたら、どっちでもあるし、どっちでもないしとしか答えようがない。 

僕はこの言葉というか、この感覚が、この本の本質なのではないかと思っています。これは本の「はじめに」の一部なのですが、まあ真髄というのはその本の前書きに宿るものだと僕は思うので。。

***

8人それぞれの「働き方」について書かれており、それについて堀江さんがコメントをする。というのがこの本のスタイルなのですが、その8人について読んで僕が特に印象に残ったところがあります。

まず、1つ目は武田双雲(書道家)さんの「いまこの瞬間だけに意識を集中し、幸福を引き寄せる」という言葉。

当たり前なのですが、当たり前にできないからこそ、本当にそうだと思う。

ビジネスの考え方の大枠は、未来からの逆算思考なんです。この目標を達成するために、どうするか。とか、あるいはこの売り上げをつくるために、こうしよう。とか。

そうやってまずゴール設定をして、そのゴールと現状を埋めるためにどうするのかを考える。

というのが、基本的な思考方法なのですが、そしてそれはすごく大事なビジネスのフレームワークでありベースであると思うのですが、それは同時に自分の生き方としては、自分自身をすごく縛るもの。言うなれば、多大な制限を課すものだと思っていて。

そうではなくて、本当に「今この瞬間」「ここだけ」に全力で集中して物事に取り組む。没頭する。

そうやって自分の感情に向き合って、感覚を大切にして、仕事をする(遊ぶもそう)という生き方をすることは、少なくともその感覚を持っていることはすごく大切なことのような気がします。

ちなみにですが、結局は、その姿勢が上に書いたビジネスのあり方にも戻ってくるのだと、今の僕は思っています。

目標からの逆算であったとしても、結局「今やるべきこと」は「今この瞬間」なわけで、本当にそれに全力で傾注するということが結局は、その仕事をより良いものにするのではないでしょうか。(と、今の僕はそんな風に思っていますが、実際に社会人として仕事をしても同じことを言ってありたい。。)

2つ目は、佐渡島庸平(編集者 / (株)コルク代表)さんの”毎日、全行動を「決定」する”という考え方です。

これも、言葉にすると至って当然なことのように思えるのですが。。

彼は、自身のことを、ある種、動物的に動く人間であると言いつつ、

感覚的であるけれど、自分の決定で動くことには、意識的でいようと思っています。パフォーマンスを高く保つために、意識的であることは大切。 

と語っている。

彼ほどの方が(失礼、決して上からではありません)、というのは講談社という大きな企業で上に行くほど優秀であり、かつ、ものすごく合理的にビジネスを作っている(と僕には思える)人が、「感覚を大切にする」と言っているわけです。そしてその自分の感覚に対して、意識的であるのだと。

すごく説得力のある言葉だと思いませんか。

自分の感覚、感情、思考、そしてそれらによって決定される日々の行動。そのひとつひとつに対して、意識的であるのとないのとでは、今すぐには違いは分からくとも、時間とともにその差は歴然とするものになるのではないでしょうか。

日々の意思決定のひとつひとつに対して、すごく丁寧でありたいなと思いました。

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とまあ、わりと長くなってしまいましたが、本当に興味深い本だなあと思ったので、興味のある方は是非読んでみてください。

本当は8人全員の感想も書きたいのですが、長くなりすぎてしまうので。笑

ここまで読んでくださって、ありがとう。