芥川賞受賞作品『コンビニ人間』を読んで 〜どこまでも「普通」を強要する社会〜
今年、芥川賞を受賞したとして話題の『コンビニ人間』を読みました。
美味しいカフェオレを出す、行きつけのカフェで。
1時間くらいでさっと読み切ることができました。
(カフェオレ美味しかったです。ご馳走様でした。)
- 作者: 村田沙耶香
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/07/27
- メディア: 単行本
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どこまでも「普通」であることにこだわる日本の社会をストレートに表現した本で、興味深い内容だなと。
主人公の小倉恵子は36歳独身。コンビニのアルバイト店員として18年間アルバイトをしている。
というところから、ストーリーは始まります。
36歳の女性にして、独身。恋愛遍歴もなし。
20代、30代をずっとアルバイトをして暮らしてきた。
週に5日、コンビニの「店員」として生きている。
そんな主人公を社会はおかしな存在として、つまりは「普通でない」存在として見つめている。
「普通に就職した方がいいよ」「普通に恋愛をしたら?」「普通に結婚した方が、女性の幸せだよ」というふうに。
すごくシュールな場面と、淡々とした口調で物語は進んでいく中で、現代社会の一面、つまりは”ムラ社会”をうまく描いている物語だと思いました。
コンビニ店員としか生きられない、という振り切った物語なんだけれども、それがいわゆる「普通」を強要する日本の空気感みたいなものが強く描かれていて、共感と、違和感と、そもそも「普通」ってなんだ?と考えるきっかけになる本だと思いました。
芥川賞を受賞した作品としては、物語のスケール感とかでいうと、かなり身近に感じられるものだと思ったのですが、それは僕が思うに、この日本社会に対する一つの風刺なんじゃないかと。
この作品が言わんとしていることは、今の社会に対する一つのメッセージとなっているからこそ、そしてそれが物語として奇妙に、うまく描かれているからこそなのではないかなと。
僕の感想でした。
普通って、なんだろう。
朝からたくさん本を読んでいる一日の昼下がり。
カフェに誘ってくれて、ありがとう。