暗闇のなかで遠くの光を見つめながら、僕は一生の仕事を決めた。
将来僕は、本を書いて生きていこう。
発信者として、生きていこう。
誰に、何を届けるか。そんなことは、そう決めて生きている途中できっと分かるときが来るんだと。
僕は将来の夢を、自室の部屋にひとりきりでこもっているときに、思い描いていました。
もうすぐ10代が終わろうとしているときでした。
僕は当時、ものすごく暗くて長いトンネルの中にいた。
僕が高校時代に病気をして身体を壊し、そこから僕は長い長いひとり旅をしていたんです。
長くて、深くて、怖くて、もう2度とこの暗闇から抜け出せないかもしれない、と。
一方で、そんなときに僕を支えてくれたのが本であり、言葉だった。
本があったから、僕は死なずにいま、ここに立っています。
あのとき、腐らなくて本当によかった、と。
本を通して見る、壮大な世界への憧れを捨てなくてよかったと。
そして何よりも、自分自身を諦めずに信じてよかった。
そんな風に思っているんです。
それは、長くて深いトンネルの中で、ずっとずっと先に、微かな光が見えたから。
暗闇のその中で、遠くに見える一筋の光を見つめているとき、僕は一生の仕事を決めました。
本を書いて、生きていこうって。
僕にしかできないことがあるんだと。
僕にしか語れないことがあって、僕にしか届けられない言葉が、きっとある。
そう決めたときから、僕のいまは始まっていたんだと。そう思えます。
そうやって僕は、大学生になった。
あの頃思い描いていたほどかっこいいものではないけれど、それでも僕は、あの頃本気で憧れていた大学生活を送ることができました。
嬉しかった。
大学1年の前期が終わったとき、そしてその最初の1年間が終わった日、僕はひとり教室で号泣したことを鮮明に覚えています。
これほど、嬉しいことはないって。
入学試験に合格したときも、初日に大学に足を運んだときも、なんとも思わなかった僕ですが、1年目。授業が終わったあとに、ああ、やっとここまでこれたって思いました。
最初の1年は、本当に怖かった。
ひょんなことからまた来週から、いや、もしかしたら明日から、また大学に通えなくなるかもしれないって。
今こうして掴んでいる未来は、今なのに。それがいつしかこぼれ落ちてしまうかもしれないって。
ずっとずっと、怖かった。
その想いからやっと解放されたのが、1年目を無事に終えた瞬間でした。
あれから3年。
僕はいま、大学4年生として、このキャンパスに立っている。
この4年間の大学生活も、残り半年というところまで来ました。
あのときの思いは、時折忘れそうになるけれど、それでもずっと僕の中で残っているものです。
これから大学生活を送る君たちへ伝えたいこと。
大学時代は、いいものだよって。
いまある当たり前は、すごく素敵な時間だよって。
なんでもいいから、ひとつ。大学時代に経験したものがあるならば、それはすごく素敵なこと。ずっと、持っていてほしい。
どんな人でもいいから、一人。大学時代に時間を共有した人が一人でもいるならば、それはすごく素敵なことなんです。一生忘れないよ、って。
僕はそう、思っています。