99%の事業主は、価格競争はしてはいけないよ

2020年6月14日経営戦略, 事業戦略

とある事業についてディスカッションをしたのだけれど、ある地域でマーケットNo.1を目指して事業展開をしている中では、事業戦略の取り方・考え方が変わってくるよねという話をした。

ビジネス用語に「ランチェスター戦略」という考え方がある。

ビジネス的な解釈はいろいろあるけれど、僕が思っているポイントは2つ。

1、売上拡大を目指すのであれば、取るべき戦略(優先順位)は「広げる」ではなく「値上げ」
2、市場シェア1位と2位以下では戦い方が異なる。1位以外は価格競争をせず「自分たちの価値」を磨くことを考える

この2つについて僕の考え方を書いてみようと思う。

事業における競争優位性は価格ではない

あなたがもしビジネスパーソンであるならば、「”売り上げ”を3つの構成要素で説明せよ」と言われてすぐに出てこないようではいけない。

ましてやあなたが経営者ならば、0.1秒で回答が出てこなければ向いていないのでやめた方が良い。

「売り上げ」=「顧客数」×「購入回数」×「単価」

まあ、当たり前といえば当たり前の話。
売り上げは、顧客の数と、購入回数と、顧客単価の3つの掛け算で決まっている。

ここで9割以上の事業者がこう考える。

「他社と差別化をするには、価格を安くしよう」

これが典型的にイケテナイ発想であり、この発想をするあなたが経営者ならば、間も無くあなたの会社は事業が傾き、場合によっては倒産する可能性だってあると思う。

下の図を見て欲しい。(僕が作った)

まあいろいろあるけれど、言いたいことは2つ。

1、値下げ戦略は、してはいけない
2、3つの構成要素のうち、優先順位が高いのは「単価を上げる」である

世の中の99.9%の企業は、特定の市場において2位以下であるため、値下げ戦略なんていうのは考えてはいけない。

値下げ戦略で勝つことができる事業主というのは、圧倒的な大企業か、その市場で圧倒的にシェアNo.1の会社と決まっているからだ。

少し考えればわかる話だけれど、値下げをした商品というのは利益率も下がるわけなので、事業を継続するためには、たくさんの人に買ってもらう必要があるわけだ。
でも、他の商品やサービスとの差別化が「価格」になると、結局1位と2位以下の商品を展開する会社の「どちらかが事業撤退するまで」永遠に値下げ競争が繰り広げられる。

だって、顧客に選んでもらう理由が「安いから」であれば、もっと安い商品が出たら顧客は他に目移りしてしまうわけだ。
他社に目移りした顧客に自社の商品を再び買ってもらうためには、さらに値下げをしなければならず、半永久的に値下げはできないので、結局生き残るのは体力のある大企業か、たくさんの顧客に買ってもらえるシェアNo.1の事業主ということになるわけだ。

 

ランチェスター戦略という考え方では、シェアNo.1の事業主が取るべき戦略は「広げて」「他社が入れないようにする(=円形戦略をとる)」の2つ。

価格競争はしても良いし、しなくても良い。
価格競争ができるのは、圧倒的なシェアを確保した場合か、他の事業でカバーできるので投資をする余裕がある大企業のみだと知ろう。

逆に言えば、シェア2位以下の企業などにおいては、価格競争(低い利益率)で何年も戦うことができないので、シェア1位の企業が仕掛ける価格競争は、戦争でいうところの「兵糧戦法」ということになる。
兵糧攻めは、戦争を長引かせることで、相手の体力が底を突くまで待つというものだけれど、今なお有効な考えただと思う。(友達をなくす発想だけど・・)

ちなみに「他社が入れないようにする」という「円形戦略」は、ようは2位以下は「なんらかの要素で差別化」をしてくる戦い方に対して、その差別化要素を(後発でも良いので)徹底的に真似して叩く(=差別化させないようにする)ということ。

隙を見せない、穴を作らないという意味での「円形戦略」は、強者の理論として非常に有効であることを書いておく。

迷ったら値上げ

値下げ戦略(価格競争)と同様に、99%の企業がよくやる失敗が「新しい顧客を開拓する」という発想。

ようは新規顧客にアピールして、購入してもらう営業活動や宣伝にお金を費やすわけだけれど、新規顧客に対する営業活動は並大抵の努力では継続しない。

もちろん事業を始めた初期段階とか、サービスをリリースした初期段階では、ある一定の新規顧客獲得活動は必要だけれど、しばらくすると「新規顧客を獲得数」という発想から「利益を拡大する」という発想にシフトしなければ、組織や関わる人皆が疲弊してしまう。

理想を言えば「たくさんの人に」「何回も」「高い価格で」購入してもらうことが理想なのだけれど、世の中そんなにうまくはいかない。笑

なので、事業を組み立てる際の優先順位(=これを戦略という)は「値上げをする」ということが良い。その理由はかかるコストや負担、時間を考えて表にして比較しているので、上に貼った図を見てもらえると良いと思う。

値上げというのはぼったくるというものではなく、付加価値をつけ、顧客にとってより満足するサービスを提供するという発想なので、変な「ぼったくり」とは真逆の発想にあることを改めて強調しておく。

値上げをしようという発想で事業を組み立てる考え方は、次の記事で詳しく書いていこう。