自立しているからこその関係性がある
僕は就職をして東京、そして大阪に住んでからのこの2年間、今まで以上に父親と話すようになりました。
僕の父親はいま、東京に住んでいるのですが、もともと僕と両親の3人暮らしを地元でしていた。
その父親が単身就労で東京へいったのが、ちょうど10代後半。僕が高校時代に体を悪くし、そのまま家にいて大学受験もままならないようなときでした。
色々あったものの僕自身がようやく大学に通うことができるようになったのが20歳の時。
そこから4年間の大学時代において僕はものすごく勉学に打ち込んだ一方で、事業をやったり、色々社会活動をしていたわけなのですが、そんなことは東京にいる父親には全く話すことはありませんでした。
ようやく、僕自身の活動や、そもそも僕が自分の人生、社会というものをどういう目で見ているのか?ということを初めて伝えたのが、実は東京で就職活動をし、就職が今の会社に決まった後の話でした。
東京ではたらくビジネスパーソンは別世界の人間だという感覚
父親自身はもう何年も東京で働いて一家を支えてくれていたわけですが、とはいえいわゆる大企業に勤めるビジネスパーソンというものは彼にとって別の人種です。
僕の母親もそうですけれども、田舎の町で生まれて育って、価値観がその基準で生きてきた人たちですから、ビル街で働く人たちがどういう人種なのか、ということは全くもって知らないわけです。
職業に貴賎なしとは言いますけれども、それは嘘です。
そしてそれは僕の両親にとっても同様で、いわゆる「日本のビジネスパーソン」といって一般的に思い浮かべるサラリーマンというのは、別の人種だと思っていた。そういう価値観の中で生きてきたという話です。
実際に僕自身の就職活動の話をしたのは、内定をもらい、僕自身がこの会社にいこうと決めて承諾をした後のことです。
「東京で、就職活動するから」と言ってシェアハウスと実家を行き来し始めた時、僕の母親は「でも、落ちたらどうするの?」と言いました。
「落ちないから、大丈夫。笑」
といって錚々たる大企業を順番に受けていく息子を、よくもまあ送り出してくれたものだと思っています。感謝ですね。
で、僕がいまの会社を含む東証一部の上場企業群に内定し、決断をした後に父親に伝えた時に、
「そういう会社って、東大卒業の人たちがいくところじゃないのか?どうやって受かったんだ」
と言われました。嘘のような本当の話。
そんなわけ、あるかーい。w
でも、本当に彼らにとってこういう会社に勤めるという人たちは、自分たちとは別の人種である。そういう感覚なわけですから、驚かせてしまったなあと思っています。別に僕がすごいとかそういう話をしているわけではないのです。
世の中にはいろんな世界があって、手を伸ばせばちゃんと届くのだということを初めて、僕の成功体験を持って両親に示すことができたのは、僕の恩返しかと思っています。
自立してようやく語り合うことができた
その後も色々ありましたけれども、結果的にいま、こうして母親のみならず、僕は父親と大阪-東京間で電話をし、色々な話をするようになりました。
あれだけ、以前は話をしなかった父息子が、です。不思議なものですね。
僕は大学時代まで、自分の父親に感謝をしてはいるものの、全くもって生き方を尊敬してはいませんでした。むしろ、ありえないと毛嫌いしていた生き方です。
でも、不思議なものですね。
こうして時々でも電話をし、社会の話をしたり、仕事の話をしたりする関係性になるとは、当時は全く思っていませんでした。
でも、それは、僕が1人の大人として自立をして初めてできるようになったことだと思うのです。
お互いが大人として振舞うことができてはじめて、対等に話せるようになるんだなあと、今更ながら思っています。
そしていま、僕がこうして今ここでやっていることをもって、社会に微力ながらも寄与している(働いて税金を払っているわけですからね)姿と、1人暮らしでそれなりにやっている姿を遠目に見せることが、「自分たちも頑張らねば」と両親に思ってもらえるようで、それが恩返しなのかもしれません。