ゆってぃさん、いきなりだけれど、今日の夜空いてる?
梅田でご飯でもどうだろうか。
今週、いきなり携帯のSMS(ショート・メッセージ)に連絡が入りました。
ふと宛先を見てみると、ちょうど1年半くらい前に、半年間ほど一緒に仕事をした方。
元・キーエンスという会社の出身で、50代で独立され今は個人コンサルとして、多くの経営者を相手に経営・営業ノウハウのサポートを展開している人で、とあるニッチトップの製造業界の企業の、営業改善プロジェクトに一緒に取り組んだことがあります。
それ以来、時折こうして連絡を取り合っており、プロジェクト中はランチやコーヒーをよく一緒にしたものですが、夜の会は初めてで、二つ返事で了承し、梅田のオシャレなビルの一番上のフロアで、タイ料理をご馳走になりました。(辛かったけれど、美味しかった!ありがとうございます)
今までキーエンス出身の方と仕事に取り組んだことが何度かありますが、彼はその中でもずば抜けて優秀な方。
50代まで勤めたのち独立、という経歴が優秀さを物語っていますが、こうして20代の僕をご飯に誘ってもらうというのは有難いものです。
仕事にもお金にも人生にも困っていないはず・・ということで、人生の先輩からイロイロなことを教わっています。
もうお金は必要ないでしょというくらいに稼ぎまくったはずですから。笑
その方とはこれからもご縁が続くと思うのですが、彼をはじめとするキーエンスという会社出身の方々と話をしてきたことをベースに、同社の解剖学をしてその秘訣に迫りたいと思います。
【目次】(本記事の内容)
1.メーカー?商社?キーエンス(KEYENCE)という会社の凄さ
2.平均年収2,000万円以上!?どんな仕事をしているのか
3.高収益モデルの秘訣、何がそんなにすごいのか?
4.必ず成功する新規事業の考え方
5.キーエンス流・営業の極意
6.当たり前のことを当たり前にやり続ける胆力こそ真髄
7.独立して個人で仕事を作り出す、立ち位置の取り方
1.メーカー?商社?キーエンス(KEYENCE)という会社の凄さ
そもそもキーエンスという会社を知っている方はどのくらい、いるのでしょうか。
なんらかの製造業の業界に携わる方々はご存知かと思いますが、それ以外の人は(もちろん就活生の人たちも含めて)ほとんど知らないのではないのでしょうか。
あるいは、「高収入企業ランキング」で他の企業を圧倒しているので、就活生や女性の方(失礼!)は、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、名前は聞いたことがあるけれど、何をやっている会社かはわからない・・という人も多いと思うので、キーエンス解剖学をしてみたいと思います。
キーエンス社は大阪に本社を置く企業で、機械の制御機器やセンサー、顕微鏡や画像認識装置などの開発・販売事業を、国内および海外にも展開をしている企業です。
HPはこちら。シンプルさがまた企業を物語る。
事業がわかりづらいのでもう少し噛み砕くと、世の中にあるFA(ファクトリー・オートメーション)と呼ばれるモノづくり企業の工場・製造の「自動化」のための機器を開発し、販売している企業です。
例えば製造ラインの設備を制御する「制御機器」もしかり、製造ラインを流れるモノを掴み取る腕のような機械に用いられる「センサー」や、そのモノを認識するための「画像認識装置」など、ということです。
キーエンスの顧客対象となるモノづくり企業は、例えば自動車部品メーカー然り、半導体や電子・電気機器(スマホとかパソコンなど!)メーカー然り、それ以外にも機械、化学、薬品、食品など、製造業全般で幅広い企業を顧客として抱えています。
キーエンス・グループのHP内にその秘訣が書いているページがありました。
このページに書いているようなを引用して「キーエンス高収益の秘密!」などというまとめ記事も多く存在しますが、もちろんそれは表面上のことのみなので、あまり参考にはならないというのが実態・・そりゃそうか。
キーエンス社を語られる際に「メーカーとしてはかなり特異な企業」などと言われますが、この表現は間違っていて、キーエンスはメーカーではない。
何故ならば自社で製品や商品を作る(makeする企業:maker)わけではないので、「製造業、メーカーの中ではかなり高収益」というのはそもそもが間違っています。
どちらかというと専門「商社」と認識をした方が正しく、キーエンスが携わるのは、
・企画:どんな製品があれば嬉しいのかを考える(まだモノがない)
・開発:技術を用いて実際にモノをつくってみる
(・製造:大量の製品を工場で作る→この工程は他社へお願いする)
・販売:製造されたものを売る
ということになるので、ビジネスモデルとしては技術を生かして「企画」「開発」までをも担う商社、という表現が正しいわけです。
上でリンクを公開した「キーエンス独自のビジネスモデルとは」という記事に書いてある通り、キーエンス社のビジネスモデルの特徴として挙げられるのが「ファブレス経営」という経営手法です。
「ファブレス経営」という言葉の意味は「ファブ(工場)」を「レス(=持たない)」ということで、その名の通り自社では工場を持たず、製品の製造は行わないということです。モノづくりをしない時点でメーカーではないということです。
ファブレス経営で有名な世界的な会社といえばApple社です。
(あとはNIKEなども有名、日本国内だと任天堂など)
工場を持たないので、場所や在庫を抱えることはなく、市場の変化に素早く対応できるという王道的なメリットがあります。
もちろん言うほどファブレス経営は容易ではなく、特にキーエンスはグローバルで事業を展開するため、広大かつ精密なネットワークを保有できるノウハウがあるわけです。
ファブレスに加えて、販売代理店を挟まずに全顧客に対してキーエンスの営業マンが直接モノを売るという営業スタイル(直販型)も特徴的で、自社で企画・開発に加え「完全たる販売」までをも行うため、利益が自社に多く残るというわけです。
言うは易しで、実際にそれだけの事業をグローバルの規模で展開しようとすると、かなり難しく独自のノウハウが必要になる。
全体で見ると結果的に「分かっていても、キーエンスしかできない」ビジネスモデルになるため、高収益に繋がっているわけです。
2.平均年収2,000万円以上!?どんな仕事をしているのか
はい、就活生の人たちは「給料 高い」などで調べてキーエンスの名前を挙げてくる人たちが多いこと多いこと。
実際には上で書いたように企画・開発・販売などを中心にあらゆる仕事があるわけですが、蓋を開けてみるとそのほとんどが「営業マン」として占められています。
何故か。これはもう明確な理由があり、キーエンスの歴史の中で超がつく優秀なごく一部の人たちが、今のビジネスモデルを築き上げたから。
仕組みを作る人は、100人中1人の天才でよくて、残りの99人はその仕組みの上で結果を出せる人であればいい、と言うのがキーエンスがキーエンスたる所以です。
もちろんこんなことを書くと「いや、そんなことはない」と言われるかもしれませんが、、
とまあ冗談はさておき、営業マンとしての圧倒的に成長し、稼げるというのは間違い無いです。
当然、巷で言われるように激務と言うのも事実でしょう。実際に営業マンの凄さと働きぶりについては後ほど詳しく書きますが、キーエンスに勤める社員が行う仕事はほとんどが営業だと思ってください。
自社の製品に用いられる技術、例えばセンサーの技術や画像解析の技術、それを導入する顧客の業界と設備の知識などを押さえた上で、自社製品やサービスの営業をしていくことになります。
例えば自動車業界の企業に対しては、自動車部品メーカーに用いられる製品があったとして、
「いまの御社の設備稼働に際して、何か困っていることはありませんか?
キーエンスのこの機器を導入することで、こんな効果が得られます。
結果的には、経営のインパクトはこのくらいになります」
というような営業(セールス)を実施していくわけです。
業界的には技術や製造の知識がないと顧客と対等に話ができないということ、そして場合によっては何十台もの機器の導入の話をすることが求められます。
製造業の企業における経営的な視点でも見ることが求められるため、結果として小さくない額のビジネスに携わることになるわけです。
営業としてかなり難易度が高く、求められる成果も大きいのですが、身につくものも大きく、結果としてたくさん稼ぐこともできるため、挑戦してみたいという方には合った企業だと思います。
話は少し脱線しますが、「年収」ってどう言う風に決まるか考えたことがありますでしょうか?
例えば、日本における労働人口の平均年収はだいたい400万円くらいですよね。
(2019年8月現在では432万円とのこと。ゆってぃの年収は・・・)
年収というものの定義を一旦ここでは「企業に所属し、その給与とする」とした場合、年収というのはその大半が「所属する企業がある業界」に依存します。
(本来であれば「企業に所属する」以外の選択肢も当然ありますが、一旦は議論の外に置いておきます)
つまりは、企業からもらう給与というのは、自分の能力云々ではなく、今所属している企業、ならびに今所属している業界で、そのほとんどが決まるということです。
簡単な例を挙げると、例えば年収1,000万円を稼ぎたいとした場合、いまあなたが地方公務員として市役所に勤めていたとして、あるいは公立学校の先生であったとして、それは現実的に可能でしょうか?
(給料だけでは無理ですよね、別に公務員がどうこうと述べているわけではありません)
何故ならば、公務員の給与の分配(人数と、税金の総額)から考えた時に、それだけの配分をするという前提がそもそも無いからです。
(市長になる、校長先生になるというコンマ数パーセントの確率は除外して考えています)
あるいは逆に、年収1,000万円を稼げそうな企業って、どういうところが考えられますか?
メーカー大手?総合商社?金融業界・・?
もう、お分かりでしょうか。ほとんどの場合、稼ぐためには「どんな能力を身につけよう」「どんな成果をあげよう」と考えるのではなく、「どの業界」「どの企業に所属しよう」というように、「企業名」や「業界」を考えている時点で、そもそも「年収(=稼ぎ)」というのは企業や業界で決まってしまっている、ということになるわけです。
公務員の話で「全体の財布(総額)と配布人数」の兼ね合いのことを書きましたが、それが企業全体、あるいは業界全体に置き換えられたと考えてみてください。
お金がたくさん集まる業界というのは、自然と平均年収が高くなり、逆にそうでは無い業界では(年収を上げるという観点だと)努力が報われにくい、ということになります。
皆さんの親世代の人たちは「頑張って勉強して、いい大学に入って、いい会社に就職すれば、一生安泰である」と思っています。
何故ならば、終身雇用制度の時代だと、いい業界、いい会社(=給料が高い場所)に所属すれば、自動的にたくさん稼げていたからです。
当然、時代が変わり今は終身雇用制度は事実上崩壊に近づいているわけなのですが、「給料は、所属する業界・企業にほぼ依存する」という本質は変わらずに残っています。
話は戻りまして、何故、キーエンスという会社の平均年収がこれだけ高いのか?という秘密に、彼ら独自のビジネスが潜んでいるということを書いていこうと思います。
3.高収益モデルの秘訣、何がそんなにすごいのか?
「超」付加価値を、世界に。
情熱とテクノロジーで、モノづくりの未来を変える。
と言うのが2021年卒のキーエンス社の新卒採用のキャッチコピーです。
まさにキーエンス社の存在を体現したコンセプトだと思うのですが、僕が思うキーエンス社の魅力、ならでは唯一の同社の価値というのが「付加価値創造型」の企業だということ。
高収益というのは机上で論理的に考えるだけでは実現しないというのは勿論のことで、顧客が「価値」を感じてくれるからこそ、それだけの対価を支払ってくれるわけです。
キーエンス社が生み出す価値というのは、なくてはならない存在になる、ということです。
当たり前のようなことですが、キーエンスという会社はこれを徹底している企業という点で独自の存在を築いています。
企画・開発にはキーエンス特有の独自技術を用いているわけですが、その技術も各工程の中でもっとも価値が高いというものだけを自社で担っていることになります。
重ねて、後述ですが、顧客の要望を吸い上げる営業力、顧客の「あったら良いな」を製品の機能やサービスに反映させる仕組み、そして何よりも日々の事業活動をやり続けられる圧倒的な胆力。
モノづくりの側にはキーエンス、を体現するビジネスモデルこそ、彼らがここまで高い収益率を誇る所以だということです。
4.必ず成功する新規事業の考え方
上に書いたようにキーエンスには「企画」「開発」の部隊がありますが、技術の専門家集団であり、「価値」を生み出すプロフェッショナル集団でもあります。
キーエンスの高収益モデルの裏側には、独自の新規事業の考え方が存在まします。
普通の企業や組織の場合、新たな事業(新規事業)を立ち上げようとした場合、その新規事業が成功する確率はせいぜい1〜2割程度です。
新規事業の成功を「3年以内の黒字化」と定義した場合(ようは3年以内に、事業単独で収益を生み出し黒字になるということ)、10個の新規事業にトライすれば1つか2つ当たれば良いよね、というのが一般的な企業における新規事業の確率論なわけです。
(3割あれば相当高い、3つに1つは成功するというのは異例)
ところが、キーエンス社が取り組む新規事業の成功確率はなんと9割を超えている。
これは意味不明の数字で、もちろんキーエンス社が過去に培ってきた独自の資産があるからこその数字でありますが、その「成功する新規事業」の考え方は大変参考になります。その裏側を紹介しますね。
(タイトルに「必ず成功する」と書いたのはご愛嬌、もちろん100%ではないですが、9割越えというのは凄まじみ)
同社の新規事業の考え方でもっとも重要なポイントは、
営業と、企画・開発の連携の仕組み化
というところにあります。製造業の企業なんかでよくある失敗例が、
・せっかく製品を開発、製造したのに、営業が売ってくれないからダメだ
・せっかく営業で受注してきたのに、うちの開発はいい製品を開発しないし、製造はちゃんとしたものを作らないからダメだ
というように、営業サイドと、モノづくりサイドが分裂するというもの。
ぼくもよく製造業の企業の人たちとやり取りをしますが、本当に「いやあ、うちの営業はモノづくりをわかっていないよ」とか「弊社の製造は全く顧客のことをわかっていなくてね」というように、絵に描いたような仲の悪さが存在するわけです。
キーエンスはその垣根を仕組み化によって融合させることによって価値を生み出したわけですが、そのポイントは「営業活動は全てマーケティングである」という考え方を築き上げたことにあると思います。
日々、顧客と接する営業マンの人たちは、必ず顧客の声を拾ってきます。
「今の製品で”こうしたらいいな”と思うことはありますか?」「この部分を少し改善したら嬉しいですか?」「こういう機能を持った商品があると使いますか?」という風に、顧客の生の声を拾い集めてきます。
その声を毎日社内に持ち帰り、データとして蓄積していくことを、全国(海外にもいる)キーエンス営業マンの全員が徹底するわけです。
そうすると、ある一定の共通項が出てくるわけです。
「A製品のこの部分を、こんな風に改良したら嬉しい」
「いま、こういうところに困っていて、新たなこういう機能があれば嬉しい」
という風に。
その声を、キーエンス社内の中で最も優秀な頭脳集団である企画部隊が裏付けを取りにいき、開発に入っていくわけです。
新規事業も同様の考え方で、圧倒的な情報網を世界中に張り巡らせ、顧客が「欲しい!」と思う機能を事業として開発する。
ゆえ、新たな事業ができた時、新たな製品を作り上げた時には「顧客が欲しいと熱望しているもの」が出来上がるわけですから、実際はほぼ100%に近い形で売れるものができるということです。
それを各事業で徹底するからこそ、の独自の新規事業ノウハウだということです。
5.キーエンス流・営業の極意
キーエンスの営業マンが優秀だと言われる所以は、ソリューション・セールスと呼ばれる、いわゆる「提案営業」の徹底にあります。
上の新規事業の考え方にも書きましたが、顧客に対して「こういう機能があれば嬉しいと思いませんか?」というように、顧客自身も気づかなかった提案をするということが徹底されているので、単なるモノ売りの営業とはそもそもの考え方が違うということです。
提案営業型組織作りのプロセスについて、キーエンスの方と議論をしたことがあり、大変参考になった話を書きます。
彼らは、自社にとっての顧客をいくつかに分類しています。簡単にまとめると、
・最も良い顧客:自社の製品を使い、顧客レベルとしても高い
・まあまあの顧客:自社の製品を使っている、もしくは使う可能性があり、顧客レベルとしてはまだまだよくなりそう
・微妙な顧客:自社の製品を使っていない、もしくは使ってはいるが、顧客としては微妙な位置付け
(・その他:対象外、など)
という風になるわけですが、まずは自社の顧客はどこに属しているのか?ということを考えます。
他方、分類をした「まあまあの顧客」に対して、自社の製品を使ってもらう云々ということは一旦置いておき、その顧客企業がさらにその顧客に対して何があったら選ばれる存在になるのか?を一緒に考えるということをします。
ようは、「お客さんのお客さん」までを想定してあげた上で、「こうしたらもっとよくなりますよ」ということを言ってあげるのです。
それこそがまさに「提案営業」であり、自社の製品やサービスとセットで「解決策」を顧客に提案する。
その情報を自社(キーエンス)組織内で常に共有することにより、どこにも負けない強固な組織を築き上げることができるというわけです。
この提案営業の徹底こそ、キーエンスの営業マンが優秀と言われる所以です。
6.当たり前のことを当たり前にやり続ける胆力こそ真髄
キーエンスの営業マンと一緒に仕事をしたこともありますが、やっぱり超優秀だと思う。
僕のクライアント企業の中には「キーエンスと営業勝負になったことがあるが、絶対に勝てなかった」という企業まで存在します。
上で書いたような仕組みや会社としての強さ、提案力という部分は間違いなく強さですが、何よりもその強さを支える当たり前のことを当たり前にやり続けられる胆力こそ彼らの強さの真髄で、僕にとっては脱帽させられるポイントでした。
具体的なエピソードを書くと、例えばキーエンスの営業車は社名が印刷されており一目で「あ、キーエンスの営業車だな」とわかるようになっています。
特に製造業が多い関西エリアなどでは、顧客先の企業が始業する8:30には絶対に、企業の前にキーエンスの営業車が止まっています。
毎朝、どの製造業の企業に行っても、です。
そのくらい、当たり前のことを、当たり前に徹底し続ける力がある。
言うは易し、行うは難しです。
キーエンスという社名は「key of science(キー・オブ・サイエンス)」の略なのですが、その名の通り営業もすべてが科学的・論理的に組み立てられています。
営業マンの全ての行動ルートなどが端末でデータを取られており、その全てを解析されているというのは有名な話ですが、そのくらいロジックに基づいた行動の徹底を求められるわけですね。
めちゃくちゃハードかつ鍛えられる環境が、キーエンスたる所以なのだと感じています。
7.独立して個人で仕事を作り出す、立ち位置の取り方
とまあ色々と書いてきましたが、冒頭の話に戻り、キーエンスという圧倒的成果を求められ続ける企業で長年勤めた人というのは、据わっている武士のような存在感を放っています。
製造業界にいる人たちというのは、キーエンスの社員の徹底ぶりと、企業としての優秀さを肌で感じているため、キーエンスで何年か勤めていた人というのは転職も独立もかなり幅が利くというのが実態です。
冒頭で書いた方のように、独立をして個人で営業顧問のような個人コンサルをしていらっしゃる人も数多く見受けられます。
その中でも、個人として仕事に困っていない人たちほど「キーエンスという会社の看板」の威力をうまく使っている。
腹を割って話をしなければなかなか語ってもらえないポイントですが、大企業をやめて独立をし成功している人たちというのは、個人として仕事を作り出すために必要なポジションの取り方をわかっている人たちが多いです。
独立して個人で仕事を作り出す人たちというのはそういう「自分の経歴の何が価値を生んでいるのか」ということを見極めるのがうまい。
それは自分が評価されたいと願うことではなく、実態はどうあれ他者から評価されるポイントを踏まえている、と言い換えることができます。
キーエンスでいうと、製造業というかなり特殊な世界におけるネットワークと、看板のブランドが持続する賞味期限と、個人としての実力・実績をうまく見極めている人が多い。
企業に所属して出世をすること、優秀だと評価されることと、外に飛び出して市場の中で評価されるということは、全く別だということを知っているわけです。
勘違いをしてしまった人は独立をしたものの仕事がなく、1年と持たずにサラリーマンに戻り、適切に「会社のブランド」と「個人の実力」を見極めることができていた人はうまく羽ばたいていくというのが世の常です。
もちろん圧倒的に前者の方が多いというのはいうまでもありませんが。
個人で仕事を生み出せるというのは実力にかけ算をし、市場の希少性というものが占める割合がすごく大きい。
例えば一般的な大企業で「部長をやっていました」「支店長をやっていました」というレベルの人というのは、個人で市場に出た時には全く希少性がないため、どれだけその人が企業人として評価されていようと、かなり厳しいという事実が存在します。(しかしまあそういう相談も、本当に多いですが・・)
一方で、その企業がキーエンスのように、会社自体が市場の中でそもそも稀有な存在であり、その中でも「営業力」という独自性を持った個人として一目で市場に「すごいな」と思われるというのは、極めて稀なポジションということになります。
これが例えば他の製造業や商社における「営業部長」などで勝負しようにも、全く話にならないというのは、市場原理によるということなのです。
将来、独立をしたいと思っている人たちは、ここ数年の転職・独立・副業ブームに踊らされずに、「会社のブランド」×「個人としての市場希少性」を見極めたうえで、参加者が少ない割には求められる数が多い、という特異なポジションを見つけることをお勧めします。
もちろん、圧倒的に実力を身につける努力はするという前提で。
そしてその場所がないのであれば、ラッキーです。自分で作り上げれば良いのですから。
今の時代、そのための情報とツールは揃っています。
長くなりましたが、読んでくださってありがとう。
これからもよろしく!