【ES】日本航空(JAL)のエントリーシートが素晴らしい質問だったので書いてみる

就活生向け

知り合いを通じて、とある就活生から「日本航空(JAL)」のES(エントリー・シート)を見て欲しいという相談をもらいました。

僕の地元から、JALのような企業に憧れてエントリーをしようとする後輩がいるというのが、すごく素晴らしいなと思うのです。

その就活生の方とは直接会ったことはないのですけれども、ESへの回答の中に、僕なりのメッセージを込めることができればと思ったのです。

こうして色々な就活生から相談事をしてもらえるのはありがたくて、実は僕自身が知らないような企業をどんどんと持ってくる就活生との出会いは、なかなか刺激的で面白いものです。

コンサルという仕事柄、結構色々な会社のビジネスを見ているのですが、日本にはまだまだ知らない企業がたくさんあります。

ES然り、面接然りですが、その一つ一つには企業の想いがあり、就活生はその想いや意図を汲み取ったうえで、自分という人間を売込まなければなりません。

思い返せば僕自身は就活を通して、ここまできちんと考えてやることはなかったのですから、いまの就活生の人たちを見ていると、本当に感心させられます。

さて、日本航空(JAL)のESの設問ですが、客室乗務員採用に向けた内容とのことです。
他の職種の採用に関する設問がどういうものなのかはわかりません。同じかもしれないですし、違うかもしれないですが、これがまたよく出来た設問だなあと思わされたのです。

1)あなたのいままでの人生の中で一番の「挑戦」はなんですか。
2)「JALフィロソフィー」の中であなたがもっとも共感するものを一つ選び、その理由とともに書いてください。
3)あなたはJALの客室乗務員として、どんな仕事をしたいですか?

という3つのシンプルな質問でした。
細かな言葉尻は違うかもしれませんが、内容としては上の3つです。

あなたなら、この質問に対して、どのように書くでしょうか。

JAL再生の10年の物語

2010年、JALは事実上の倒産をしました。

その事実により日本中に激震が走りましたが、あれからまだ10年も経っていないということを思うと、改めてこの10年弱はJALにとって、そして日本の航空業界にとって劇的な物語があるのだということは想像に容易いのです。

JALは倒産をし、国や様々な企業の支援もあり、企業再生を行いました。

その時、赤字に苦しむJALを救うために白羽の矢が立ったのが、あの京セラ、KDDIの創業者である稲盛和夫氏です。

稲盛和夫さんは当初、JALからのオファーを断り続けたと言います。

なんども口説かれ続け、ようやく受ける決断をした条件は2つ。

1つは、社長職ではなく、会長職であるということ。
そしてもう1つは、まったくの無償で引き受けること。

この2つを条件とし、稲盛さんはJALの会長の座に座ったのです。

 

稲盛さんが、どんな想いでその職を引き受け、そして何を行ったから、今のJALがあるのでしょうか?

事実はもちろんJALの社員ではない僕にはわからないのですが、想像をすることは出来ます。

この10年間は、JALにとって大きな挑戦の時間であったはず。

稲盛さんは会社に「哲学」を導入しました。
そしてその「哲学」こそが、7つの「JALフィロソフィー」として語り継がれている。

それこそが今のJALをつくるDNAなのです。

 

JALのHPを見に行けば、そこには哲学が謳われています。
彼らは必死で、自分たちを見つめ、あるべき哲学を磨き、ここまで立ち直ったのだと僕は思います。

ANA1社独占になることは、何としても避けなければならなかったという事実。
赤字部門を立て直すために、どんな部署であっても利益センターでなければならないという、ビジネスの当たり前を説いたのは稲盛さんです。

そして何よりも、自分たちがなんのための存在し、なんのために仕事をしているのか?という「生き様という哲学」を作り直した功績は、多大なるものだと思うのです。

持ち上げすぎでしょうか、けれども僕は、稲盛信者でもありませんし、彼を神格化する立場でもありません。

けれども、そういうJALの背景と物語を踏まえた上で、ESで問われている3つの質問は、これ以上なくシンプルに、そして本質的なものだと思うのですが、いかがでしょうか。

なぜ、その質問をされているのかという意図を汲もう

少々ハウツー的な内容になりますが、就活生の皆さんには知っておいて欲しいことがあります。

それは、ESも筆記試験も面接も、必ず「する側の意図」があるのだという、とても当たり前の事実です。

彼らはなぜ、その質問を投げかけてくるのでしょうか?

その質問をし、何を見ているのか。会社として、どんな人を仲間にしたいと思っているのか。
そのメッセージがもっとも社会に近い場所、それが就活生に向けた質問の場だと僕は思います。

3つの質問をされるなら、その3つには意図があります。
そしてその1つ1つにも、背景があるのです。

所詮、人間が作った問題という場なのですから、その意図を想像し、そしてあなたという人間の内側をきちんと伝えてみることです。

こんなことを書いていますが、もちろん企業の人事で現場にいる人は、上で書いたような内容を全く意識することなく、それとなく就活生の皆さんに接する人もいるでしょう。いや、むしろ、そういう人が多いのかもしれない。

けれども、そこに合わせて就活をしているわけではないのですから、あなたはもっと目線を上げて、そして、本当に自分自身が乗り込む船がそこで良いのか?ということを見つめる目を持って欲しい。

僕からのメッセージです。ありがとう。